• 2025/09/30 掲載

【完全版】あまりに凄い「Devin」の実力、CEOに聞いた「開発AIエージェント」の正体

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「AIがコードを書く」時代から、「AIが開発者として働く」時代へ──従来のAIツールが人間の「アシスタント」だったとすれば、米Cognition AIの「Devin」は、まさに「AIエンジニア」そのものだ。タスクを与えれば、自ら計画を立て、設計やコーディング、デバッグまでを完全自律で遂行する。すでに、数百万行のコード移行を人手で作業していた際から1/12のスピードで完了させた事例もある。そこで今回、同社 CEOのスコット・ウー氏に、Devinの革新性と活用法を聞いた。
聞き手・構成:編集部 井内 亨   執筆:行政・ITライター 小池 晃臣

行政・ITライター 小池 晃臣

1993年早稲田大学第一文学部卒業後、ぎょうせい入社。地方行政をテーマとした月刊誌の編集者として、IT政策や産業振興、防災、技術開発、まちおこし、医療/福祉などのテーマを中心に携わる。2001年に日本能率協会マネジメントセンター入社。国際経済や生産技術、人材育成、電子政府・自治体などをテーマとした書籍やムックを企画・編集。2004年、IDG Japan入社。月刊「CIO Magazine」の編集者として、企業の経営とITとの連携を主眼に活動。リスクマネジメント、コンプライアンス、セキュリティ、クラウドコンピューティング等をテーマに、紙媒体とWeb、イベントを複合した企画を数多く展開。2007年より同誌副編集長。2010年8月、タマク設立、代表取締役に就任。エンタープライズIT、地方行政、企業経営、流通業、医療などを中心フィールドに、出版媒体やインターネット媒体等での執筆/編集/企画を行っている。

  撮影:大参 久人
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DevinとはどのようなAIエージェントなのか、スコット・ウーCEOに話を聞いた

Devinとは何か

 私たちは皆、プログラマーであり、ソフトウェアを作ることが大好きです。創設メンバーの3人は、国際情報オリンピック(IOI)で金メダルを獲得したことがあります。好きだからこそ、ソフトウェア開発をもっと簡単に、もっと身近なものにしたいと心から願っています。そうした想いを持って、私たちはDevinを開発しました。

インタビューの様子は動画でもご覧いただけます

 Devinとは、ソフトウェア開発における完全自律型AIエージェントです。人間のエンジニアと同じように、状況に応じてSlackなどを活用しながら、また対話しながら、反復的に作業を行い、コードを生成します。

 もちろん単にコードを生成するだけではありません。自分でそのコードを実行し、ログを確認しつつ、必要に応じてドキュメントを読み込んだり、シェルコマンドを操作したりすることも可能です。コーディングをはじめとしたソフトウェア開発のライフサイクル全体を、Devinであれば自律的にこなせるのです。

 すでにDevinは、何千もの企業で実際に利用されています。特に、大規模で複雑なコードを扱うシーンで、大きな能力と価値を発揮しています。

 世の中には、エンジニアがより速くコードを書くための優れた支援ツールがたくさんあります。しかしDevinは、それらとは根本的に異なるアプローチを取っています。

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【詳細はこちら】Cognition AI CEO スコット・ウー氏

 何が違うのかと言えば、Devinは「自ら行動する」という点、つまりは圧倒的な自律性が備わっています。タスクを一度わたせば、時間をかけてでも自分で作業を進め、完了したらその結果を教えてくれます。人間は、Devinが生成した成果物に対して、まるで同僚と仕事をするように、レビューやフィードバックを行えば良いだけなのです。

Devinに「競合はいない」

 AIによるコーディング支援の領域には、素晴らしいツールを生み出している企業が数多く存在します。そして面白いことに、それぞれのソリューションは少しずつ異なる方向性を持っています。

 私たち自身も、どんな製品を作るべきかという点について非常に細かくこだわり抜いています。そのため、明確に「これが直接の競合だ」と言える相手は、実は存在していません。

 たとえば、マイクロソフトのGitHub Copilotをはじめ、OpenAI、アンソロピック、グーグルといった企業が提供しているツールは、私たちにとっては補完的な存在です。私たちのプロダクトは、それらとは異なるまったく新しいコーディング体験を提供しており、実際にこうした企業と提携関係を築いています。

 だからこそ、対立ではなく協調という形で、この分野をともに進化させていけると考えています。

Devinを「効果的に活用する」ための秘訣

 Devinは、時間がかかる繰り返し作業や、エンジニアにとって退屈になりがちな作業に最適なAIエージェントです。私たちが見てきた中で、最も効果的な使い方の1つは、「Devinのマネージャ」になるという考え方を取り入れることです。

 つまり、1人のエンジニアが複数のDevinを擁するチームのマネージャとなり、それぞれのDevinに仕事を割り振って進ちょくを管理するというスタイルです。各Devinには、適切な難易度と粒度のタスクを与えることで、チームとして機能するように構成できます。

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 重要なのは、その管理方法です。指示のレベル感や内容の分解の仕方によって、成果の質が大きく変わるため、うまく使いこなすにはある程度の慣れが求められます。

 しかし、そうしたスキルを身につければ、非常に高い生産性を引き出すことが可能です。このような活用は、すでにさまざまなユースケースで実現されています。

 たとえば、レガシーシステムの移行作業やコードのリファクタリング、システムの最新化、テストやバグの修正、ドキュメントの作成に至るまで、多岐にわたる業務に応用されています。

Devin活用時の「2つの留意点」

 Devinをはじめとする現在のAIエージェントは、いまだ発展途上であり、人間によるレビューが重要だと私は考えています。

 たとえばDevinは、自分が書いたコードをプロダクション環境に直接マージするようなことは絶対にありません。必ずプルリクエストや差分を生成し、それをユーザーがレビューし、最終的な判断とマージはユーザー自身に委ねられる仕組みになっています。このレビュー体制は、信頼性と安全性を確保する上で欠かせない要素です。

 そして、もう1つ重要なのが「検証ループ」の存在です。AIが出力した成果物に、虚偽や誤情報(いわゆるハルシネーション)、単純なミス、論理的な誤りなどが含まれていないかを検証できる体制が、ユーザーからの信頼に影響します。Devinは、その点においても工夫されています。

 たとえばDevinは、自らの作業についてユーザーに対して詳細な情報を提示します。フロントエンドのコードを変更した場合には、「これが変更前、これが変更後の画面です」「以下のポイントをテストし、すべて動作確認済みです」といった説明をスクリーンショット付きで提供するのです。

 このようにして、Devinはユーザーの目に見えるかたちで自身の作業を証明し、信頼の構築を支援します。AIを単なる補助ではなく、共に働くチームメンバーとして迎えるために、こうした仕組みは今後ますます重要になると考えています。 【次ページ】Devinの「活用事例2つ」や「人間との役割分担」など
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