• 2025/10/08 掲載

大手化学、次世代半導体で連携=新たな成長探り、背景に石化低迷

時事通信社

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大手化学メーカーが半導体素材事業で他社と連携する動きが活発化している。石油化学事業の長期低迷を受け、半導体を新たな成長の柱に据え構造転換を図る。ただ、生成AI(人工知能)普及に伴う高機能化に単独で対応するのは困難。共同事業体を新設するなどし関連素材の開発を急ぐ。

三井化学は9月、名古屋工場(名古屋市)に創設した半導体関連の研究拠点「クリエイティブインテグレーションラボ」を報道陣に公開した。同社は、ウエハー(基板)からチップを切り出す半導体製造の「後工程」で使う保護テープで、世界一のシェアを持つ。2024年に約30億円を投じて整備した同拠点では、顧客である半導体メーカーや国内外の研究者が意見交換などをしながら半導体素材の開発や試験を行っている。

1800平方メートルもの面積を誇るクリーンルームには競合相手を含めて複数の企業の後工程関連の装置がずらりと並び、半導体メーカーは自社工場のラインを止めずに素材の評価などができる。三井化学の他拠点と結ぶ高速通信設備や顧客とのアイデア交換の場とする「共創棟」も備え、「(次世代半導体向け材料など)全く新しい製品も手掛けたい」(担当幹部)と意気込む。

同じく後工程の素材で高いシェアを持つレゾナックは、東京エレクトロンなどと計27社による共同事業体を設立。複数のチップの組み合わせで処理能力を高める「中間基板」を効率的に製造できる「角形ウエハー」の技術を研究する。高橋秀仁社長は「半導体に求められる技術が高度化、複雑化している」と連携の必要性を訴える。

こうした動きの背景には「本業」の石化事業の低迷がある。中国メーカーなどの過剰生産で基礎原料となるエチレン製造プラントの稼働率は低空飛行が続いている。新たな稼ぎ頭を求め、住友化学は30年度の半導体材料の売上高を、23年度比2.5倍に引き上げる計画。三菱ケミカルグループは半導体製造時の省電力化技術の開発を急ぐ。

ニッセイアセットマネジメントの坪井暁リード・アナリストは「石化事業からの構造改革に苦労する中、半導体関連事業は最も有力な成長領域だ」と指摘している。

【時事通信社】 〔写真説明〕三井化学が名古屋工場内に設立した研究開発拠点「クリエイティブインテグレーションラボ」=9月5日、名古屋市 〔写真説明〕三井化学の半導体製造用保護テープ=9月5日、名古屋市 〔写真説明〕レゾナックなどによる共同事業体の設立発表会に出席した参画企業の代表者。前列左から3人目は同社の高橋秀仁社長=9月3日、東京都港区

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