- 2025/10/16 掲載
次回利上げ提案、確たること申し上げられない=田村日銀審議委員
Takaya Yamaguchi
[那覇市 16日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は16日、10月29、30日の金融政策決定会合で改めて利上げ提案を行うかどうかについて「現時点で確たることは申し上げられない」と述べた。供給力不足が物価上昇につながっているとの認識も示し、追加利上げの必要性を訴えた。
沖縄県金融経済懇談会後、記者団に語った。政策判断について、田村委員は「金融政策決定会合での判断は、その時点までの経済・物価情勢や決定会合の場における議論次第」と指摘。9月会合に続き、利上げ提案を行うかどうかは明言を避けた。
ただ、物価の上振れリスクが膨らむ中、将来の急激な利上げショックを避ける必要性にも言及。「金融緩和度合いを調整して中立金利にもう少し近づけ、上下双方向のリスクに備えるべき」と述べ、早期利上げの必要性に含みを持たせた。
物価上昇が続いている背景にも触れ、田村委員は「コストプッシュ要因に加えて、需要が潜在的な供給力を上回り、物価に上昇圧力がかかっていることがある」と指摘した。
需給のひっ迫度合いは業種によって差はあると断ったうえで、「マクロ的な需給ギャップはすでに実体的にプラスの領域にあり、供給力不足が物価に上昇圧力をかけている状況にあるのではないか」と語った。物価2%目標の達成時期を巡り、「25年度後半という時期に、実現できる可能性も否定できない」とも述べた。
中立金利の水準に関しては「かなりの幅をもってみる必要がある」とした。そのうえで田村委員は「私が念頭におく最低1%程度という水準は、私自身が金融実務家として、企業や家計と接してきた感覚、このところの企業や金融機関の経営者の声などを踏まえて、最低でもこれぐらいはとイメージしている水準」と述べた。
累次の利上げに伴う日本経済全体への影響は「きわめて限定的」とし、「中立金利の水準までは、まだまだ距離がある」との考えも述べた。
政治不安に伴う金融市場の動揺に対しては「市場は日々変動するもので、水準についてのコメントは控える」と語った。政治情勢そのものへの言及は避けた。
一方、田村委員は「市場の安定だけを優先しすぎる場合、経済・物価に応じた適切な金融政策がとれなくなる懸念があるほか、経済・物価情勢と市場との間のゆがみを拡大させてしまうリスクもある」と指摘。今後の動向を注視し、「その場、その場で(政策を)判断していく」と強調した。
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