- 2025/10/27 掲載
日本国債の大規模入れ替え計画せず、金利上昇で含み損=住友生命・25年度下期運用計画
[東京 27日 ロイター] - 住友生命保険は2025年度下期の一般勘定運用で、含み損が膨らむ日本国債について、大掛かりな入れ替えは計画しておらず、上期に続いて数百億円規模にとどまるとの見方を示した。また国内金利の大幅上昇を受け、上期末に公社債の減損損失を計上したことも明らかにした。
増田光男執行役員・運用企画部長が27日、運用方針説明会で明らかにした。
同社の運用資産の主軸となる「日本国債等」は、10年超の国債を中心に投資を行うが、円建て負債に対応させる目的で長期保有するものは「デュレーションを維持するよう金利上昇局面で投入」するにとどめる方針。
上期はマッチング目的の投資額自体は保有国債の償還額を下回ったものの、機動的運用を行うポートフォリオで内外株式を売却して購入した分が寄与し、日本国債の残高は数千億円規模で増加。ただ下期は「現時点の計画では大掛かりにリスク性資産を落として国内債券やヘッジ付き外債にシフトする予定はない」(増田氏)として、上期のような内外株式からの資金シフトは見込んでいない。
住友生命によると、9月末時点の有価証券の含み損は速報値ベースで900億円と、3月末時点の1400億円から縮小。公社債の含み損が3月末の1兆5100億円から1兆9900億円に拡大(4700億円の悪化)した一方、株式等の含み益も3月末の1兆6700億円から2兆1300億円に拡大(4600億円の改善)し、ほぼ相殺し合ったことなどが奏功した。
同社はまた、国内金利の上昇に伴い含み損が拡大した公社債の一部について、上期末に減損損失を計上したことを明らかにした。増田氏は金額についてはコメントを控えるとした上で「金利上昇で国内債券の含み損が拡大する一方、保険負債の時価も同程度減少しているため、会社の健全性には全く問題ない」と説明。減損処理をした公社債は日本国債ではないという。
さらに過去に購入した低利回りの日本国債を売却してより金利の高い銘柄を購入する「入れ替え」について、増田氏は「大掛かりな入れ替えはしていない」として、上期は数百億円規模だったが、下期も同程度の規模にとどまるとの見方を示した。
日銀の金融政策について、住友生命では「日銀は利上げ路線を継続するものの、関税や米国経済の不透明感が残る中では慎重なスタンスで利上げタイミングを計ると予想される」として、今年度の利上げは12月か1月のあと1回にとどまる」と想定。その後は「インフレ等の状況を確認しつつ年1回のペースで利上げを行い、ターミナルレートは1.25%」とのシナリオを描く。
利上げ観測は中長期的には長期金利への上昇圧力となるが、目先についてはおおむね織り込まれていることもあり、年度内の10年金利はもみ合い推移となり、年度末は27日時点の1.66%から横ばい圏の1.70%で着地すると予想。30年金利についても、足元の3.06%から横ばい圏の3.10%とみている。
外国債券のうち、為替リスクをヘッジしないオープン外債は金利や為替動向次第で柔軟に対応するとして、増減は決めていない。
ヘッジ付き外債のうち事業債は、固定金利の米国事業債などの売却により上期は残高が減少したが、下期はCLO(ローン担保証券)や海外プロジェクトファイナンスなどの変動金利資産を中心に積み増す計画。一方、ソブリン債は上期には内外株式からのシフトにより増加させたが、下期については残高は横ばいとする方針。
国内株式と外国株式はいずれも株価動向次第だが、現時点では上期のような規模のシフトは計画していない。オルタナティブはインフラエクイティやPE(プライベートエクイティ)ファンドへの段階的な投資により残高を増加、不動産は投資用不動産への投資により微増とする計画だ。
住友生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で36兆0315億円。うち外貨建て資産は10兆4845億円(29.1%)。
2025年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 1.10―2.10% (1.70%)
日本国債30年物利回り 2.50─3.50% (3.10%)
米10年国債利回り 3.60―4.60% (4.10%)
日経平均株価 4万3000―5万4000円 (5万円)
NYダウ 3万8000─5万ドル (4万7000ドル)
ドル/円 135―155円 (145円)
ユーロ/円 155―180円 (170円)
(植竹知子)
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