• 2026/03/10 掲載

福島・浪江、陸上養殖の拠点に=異業種も参入、水産に新風―東日本大震災15年

時事通信社

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東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からまもなく15年。今も広範囲が帰還困難区域に指定されている福島県浪江町では、「陸上養殖」の集積化が進みつつある。マサバや「クエタマ」など魚種もさまざまで、海の漁業者とは異なる手法で水産復興を目指している。

先駆けとなったのは2021年、プラント大手の日揮(横浜市)が県内企業とともに設立した「かもめミライ水産」だ。プラント技術を応用し、マサバの陸上養殖に乗り出した。復興支援として国の補助金も活用、独自の管理システムで最適な生産モデルを探っている。

「十分な土地があり、物流面も良い」。大沢公伸社長(56)は浪江町で操業するメリットを語る。まだ実証段階だが、人工海水を閉鎖空間で循環させる「完全閉鎖循環式」で育てたサバは、寄生虫アニサキスによる食中毒リスクを低減できるのが最大の特長。昨年からは「福の鯖(さば)」としてブランド化し、出荷を開始した。

このほか、県内でスーパーを展開するいちい(福島市)やNTT東日本などはベニザケの陸上養殖場を計画。JR浪江駅では、JR東日本などが高級魚クエとハタ科の巨大魚タマカイを掛け合わせた「クエタマ」の陸上養殖に取り組んでおり、来年度には町内に新拠点を整備する予定だ。

町によると、これらの先行事例に関心を持った他の事業者からも問い合わせが相次いでいるという。大沢社長は「集まった企業と連携し、それぞれの得意分野で相乗効果を生めれば」と期待を寄せる。

一方、宮城県石巻市では、地元のカキ養殖漁業者ら15人と水産卸の仙台水産(仙台市)が共同出資して設立した「桃浦かき生産者合同会社」が地元に新しい風を吹き込んでいる。県が地元漁業者主体の法人に漁業権を付与する「水産業復興特区制度」も活用。生産から加工、販売まで手掛ける「6次化」経営に取り組んできた。

コロナ禍を乗り越え、メキシコや東南アジアなど海外輸出を積極化。経営は上向き、近年は入社希望の若者が県外からも訪れる。代表社員の新田拓哉さん(42)は、「若い人が入り、浜の復興につながった。過疎化が進む地域の一つのモデルケースになれば」と力を込める。

【時事通信社】 〔写真説明〕マサバを陸上養殖する水槽を見詰める「かもめミライ水産」の大沢公伸社長=2月25日、福島県浪江町 〔写真説明〕取材に応じる「かもめミライ水産」の大沢公伸社長=2月25日、福島県浪江町 〔写真説明〕マサバを陸上養殖する水槽が並ぶ研究施設=2月25日、福島県浪江町 〔写真説明〕取材に応じる「桃浦かき生産者合同会社」代表社員の新田拓哉さん=2月13日、宮城県石巻市

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