- 2026/01/21 掲載
アングル:国債売りが世界的に拡大、日本の長期金利高騰とグリーンランド問題で
[ロンドン/ニューヨーク 20日 ロイター] - 日本の長期金利高騰とグリーンランド問題が20日の主要国債市場を大きく揺さぶり、軒並み売りが広がった。浮き彫りになったのは、世界的な財政悪化と債務増大に対する投資家の不安だ。
日本国債10年物利回りの上昇幅は過去2日間で約19ベーシスポイント(bp)と2022年以来の大きさを記録し、30年物利回り <JP30YTN=JBTC>は03年以降で最大の上昇となった。
背景には高市早苗首相が23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散すると表明し、積極財政などの政策の信を問おうとしていることがある。
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「選挙で有権者からの強固な信任が得られれば、財政支出拡大への道が開かれてもおかしくない」と指摘。それが世界の多くの債券市場に今後の公的債務問題を巡る懸念をもたらし、借り入れコスト上昇という形で目にすることができると付け加えた。
<米国売りも再燃>
債券投資家は、トランプ米大統領が米国のグリーンランド購入に反対する欧州8カ国に追加関税を課す方針を示したことにも頭を抱えている。結果的に欧州諸国は自前の防衛費拡大に追い込まれ、国債発行がさらに増えるのではないかと観測されているためだ。
この関税問題で「米国売り」の動きも再燃。米国債10年物利回りは25年8月以来の高水準に跳ね上がり、30年物利回りは過去2営業日の上昇幅が、米中貿易摩擦が激化した25年5月下旬以来の大きさになった。
デンマークの年金基金は20日、今月末までに保有する約1億ドル相当の米国債を売却する方針だと明らかにした。
ただTDセキュリティーズの米金利戦略責任者を務めるジェナディ・ゴールドバーグ氏は調査ノートに「日本の財政(拡大)圧力が心配されるが、市場は米国の財政赤字についてはより楽観的だ。世界的な相関性から日本の懸念が引き続き波及する可能性はあるものの、米財務省は短期債の発行を継続することで長期債の過剰供給を回避しようと全力を傾けている」と記した。
<欧州の反応>
それでも足元の国債売りは、日本以外のしばらくは比較的落ち着いていた主要市場にも広がっている。
ドイツ国債30年物利回りは一時6bp上昇して約2週間ぶりの水準を記録。英国債30年物利回りの上昇幅は今月初め以来の大きさだった。
複数のアナリストによると、欧州ではグリーンランドを巡る米国との緊張が財政拡大圧力を鮮明に映し出している。
バークレイズのユーロ圏金利戦略責任者を務めるローハン・カーナ氏は「欧州はまたしても防衛面でやらなければならないことが多くなるという意味で、市場は『結局は国債発行増加と供給拡大、そして長期債(の価格)軟化を意味する』と言うだろう」と述べた。
欧州の債券市場は、日本国債売りにも神経をとがらせている。外債の大口の買い手である日本の投資家が、利回りが上がった日本国債により多くの資金を振り向けたくなるかもしれないからだ。
INGのシニア金利ストラテジスト、ミシェル・タッカー氏は「問題はそうした資金がどこから流出するかだ。米国から、それとも欧州からより多くのお金が出ていくのだろうか。また現在の地政学的環境を踏まえると、影響は米国の方がやや大きくなる恐れがある。米国債よりドイツ国債に資金をとどめるのが安全だと主張できる」と説明した。
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