- 2020/11/06 掲載
コロナで当面デフレ圧力、需要喚起に給付金など効果的=20年度経済白書
2020年度の「年次経済財政報告」、いわゆる経済白書は「コロナ危機:日本経済変革のラストチャンス」と副題が付いた。まず感染症の影響を経済について分析。需要の緩みは世界中に生じており「当面はデフレ圧力の顕在化に注意を払う必要がある」との見方を示した。「早急に感染防止を図りながら需要の喚起、回復を図ることが極めて重要になっている」と指摘した。
これに対応する財政金融政策に関して、金融面ではリーマン・ショック時と異なり、大規模な金融緩和措置もあって民間企業の資金調達環境は緩和的だと指摘。他方で家計や企業への直接的な資金移転(給付金)や公共投資といった機動的な財政出動でも経済を下支えしているとした。特に給付金について、家計や企業の支出増に転じることで需要創出効果を発揮することが期待されるとの見方を示した。
財政負担を伴う支出増は先々の負担増につながるものの、経済ショックにより将来の成長基盤を失いかねない危機に際しては、積極的な公的支援を行うことで、政府が保険機能を発揮することが求められるとしている。
また感染症拡大が働き方改革にも大きな影響を与えたとし、「テレワークの実施が生産性に有意にプラスの効果あった」と指摘。「フレックスタイム制や事業場外みなし労働時間といった時間管理方法の改善、成果主義を踏まえた裁量労働制導入といった雇用管理の見直しと相まって、生産性上昇に寄与することが期待される」とした。
また感染症を克服する「新たな日常」の構築について、電子商取引の増加やシェアリングといった新しい消費形態が広がりを見せている中、「日本の一人当たりソフトウエアストックは他の先進国に比べて見劣りしている」と指摘。特に公的部門のIT化の遅れが明らかになり、早々に改善・是正を図ることが求められるとした。さらにIT人材の不足も懸念されており、IT関連産業に偏らず幅広い産業にIT技能を有する人材が雇用されていく必要があると指摘した。
(中川泉 編集:青山敦子)
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