- 2020/12/09 掲載
住友林業、インドネシアのカリマンタン島で植林事業拡充
当社グループは2010年からインドネシアの山林経営・合板製造会社のアラス・クスマグループ(ALAS社)と共同で、同国環境林業省から「産業植林木材林産物利用事業許可(※)」の発行を受け、WSL/MTI社を通じ大規模な植林事業を行ってきました。
当社グループのPT.Kubu Mulia Forestry(KMF社)は、12月8日にPT.Bina Silva Nusa(BSN社)の所有する産業植林資産及び事業権の購入手続きを完了しました。
WSL/MTIに隣接するBSN社の植林資産と付随する許認可を取得する事で、事業地の管理面積は145千haから155千haに拡大します。KMF社の事業地でのオペレーションはWSL社に委託し、WSL/MTI/KMF社の森林経営を一体管理することで、植林事業の生産性の向上と生態系保全の取り組みを更に広げます。
当社グループ会社とALAS社が折半出資していたWSL/MTI社の株式取得比率を、当社側がWSL社80%、MTI社76%にそれぞれ高め、両社を連結子会社化します。ALAS社とのこれまでのパートナー関係は維持しつつ、更なる植林事業拡大に向け経営基盤を強化します。
本事業の植林地は1960年代から1990年代前半まで商業伐採される一方、違法な森林伐採や焼き畑が繰り返されたため森林の荒廃化が進んでしまった土地で泥炭地を含みます。泥炭地は貴重な生態系を有し、地球規模の炭素蓄積、水循環に大きな役割を果たしていると考えられています。
泥炭地の持続的な森林管理は、世界的にも例を見ない規模で行った綿密な地形測量と泥炭の分布・深さの調査に基づいて実施しています。従来の泥炭の水位管理は、土壌に含む水分を高いところから低いところへ流す排水型でした。泥炭が乾燥することで泥炭火災の発生や泥炭の分解が促進され、地球温暖化の原因となるCO2の排出や煙害などの原因となっています。一方、当社グループが取り組む水位管理は貯水型です。膨大な調査データに基づいて貯水林の設置、水位管理ゾーンを設定し水位管理インフラを開発することで、乾季でも地下水位を安定的に管理する世界的にも類を見ない泥炭地管理モデルを確立しました。植林区、緩衝地区、保護区とゾーニングすることで、経済的活動としての木材生産をしながら、貴重な泥炭地とその生態系を維持しています。温室効果ガスの排出や森林火災を抑制、ひいては気候変動対策に大きく寄与できます。現在では人工衛星やドローン等の先端技術を活用した泥炭地管理モデルの継続的な改善に取り組んでいます。
これらの取り組みはインドネシア政府と行なわれており、同国の要請に基づき気候変動枠組み条約締約国会議(COP23、COP24、COP25)で成果を発表したところ、国際機関や泥炭を多く抱える開発途上国等から高い評価を得ました。今後は泥炭保有国にコンサルティングの事業化を目指し、この事業で培ったノウハウを展開・普及させることで、グローバルな環境問題の緩和や持続的な発展に貢献していきます。
※インドネシア政府から発行される、同国において産業植林を行うための事業許可。60~100年間の植林事業が可能。
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