- 2021/03/25 掲載
本格営業へ厳しい視線=郵政、信頼回復へ背水
日本郵政グループが、かんぽ生命保険の不正販売問題を受けて約1年9カ月にわたり控えてきた本格的な営業活動を再開する。郵政は社内処分にもめどがついたことから、「営業活動を通じてお客さまとの信頼関係の構築を進めていく」と説明する。だが、主な顧客である高齢者に虚偽の説明をして被害を与えたことへの視線は今も厳しい。信頼回復へは背水の構えが求められる。
「信頼していただけに裏切られた思い」「落胆が大きい」。昨年10月に開始した、顧客への「おわび」活動。郵政グループの社員には顧客から厳しい言葉が投げ掛けられた。
かんぽ生命の収益基盤である保険の保有契約件数は不正を受け、2019年6月末の2889万件から、20年12月末の2537万件に大きく減少した。だが、契約件数を急速に回復させようとすれば、再び不正な販売を引き起こしかねない。かんぽ生命の千田哲也社長は記者会見で「以前のような目標ありきの営業に戻るつもりは金輪際ない」と、顧客に寄り添った営業への決意を強調した。
もっとも、苦境の克服へ郵政グループが一枚岩となっているとは言い難い。
今回の問題で最も多くの懲戒処分を出した営業担当者の間では、不正な販売手法を指示していた監督責任者の責任追及が甘いとの不満がくすぶる。今回の処分では、こうした不適切な指導や強圧的な態度を取った上司の処分も発表した。だが、不正販売の指南の実態について「分からないところは残っている」(日本郵便の衣川和秀社長)という状態で、見切り発車の面も否めない。
【時事通信社】
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