- 2025/09/10 掲載
クラウド王者AWS、1年半後に「シェア激落ち」か? Azure・GCPに負ける「最大の弱点」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
クラウド市場は急拡大も「AWSはシェア低迷」
米市場調査企業のPrecedence Researchの調査によれば、世界のクラウド市場の規模は生成AIが爆発的に伸びるとの予測を基に、2025年予想の9,128億ドル(約134.6兆円)から2034年には5兆1,509億ドル(約759.6兆円)まで成長すると見込まれる(図1)。
こうした中、世界クラウド市場におけるアマゾンのシェアは2025年4~6月期にトップの30%で、2位のマイクロソフトAzureの20%、3位のグーグルGCPの13%に大きく差をつけている(図2)。

クラウド大手各社のシェアは過去5年でほとんど動いていない一方、AzureとGCPが数ポイントずつ占有率を伸ばしている。これに対し、AWSはピークから5ポイントも落ちているのだ(図3)。

こうした中、以前はプレミア付きで取引されたアマゾンの株価が冴えない。ブルームバーグによれば、投資家の間で「アマゾンがクラウド市場のシェアを失いつつある」との懸念が広がっているからだ。その傍証として、ハイテク銘柄中心のナスダック100指数が年初来で13%近く上昇しているのに対し、アマゾン株の値上がり率は5.5%にとどまる。
今やアマゾン株の予想株価収益率(PER)は約26倍であり、ナスダック100の予想PER、27倍超を下回る。アマゾン株はピークの2018年に、ナスダック100に対して4倍以上の比率で価値がついていた。しかし現在では、その追加価値が消滅している(図4)。

クラウド市場のパイは拡大しているにもかかわらず、AWSのシェアが低迷するのはなぜだろうか。 【次ページ】Azure・GCPに全然勝てない…AWS「最大の弱点」
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