- 2021/05/18 掲載
武田薬品、クローン病のデジタルツインシミュレーションツールを用いた活動を開始
武田薬品とPwCコンサルティングは2019年9月に、クローン病を対象としたデジタルツインシミュレーションツールを開発することを発表( https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/takeda-project190912.html)しました。PwCが開発したBodylogicalは、人体のさまざまな生理機能を数字で表現し、サイバー空間上に臨床症状や投薬情報を用いてデジタルツインを作成し、個々人に合わせたさまざまな治療シナリオをシミュレーションする技術です。当技術を活用したシミュレーションツールはタブレット上で動くアプリケーション(以下「MSLアプリ」)であり、消化器疾患専門医と武田薬品のメディカルサイエンスリエゾン(以下、MSL)が科学的議論を実施する際に限定的に使用します。MSLアプリは、異なる疾患歴・疾患状態を持つ仮想の患者集団の中からひとりの仮想患者を選択し、様々な治療成果をシミュレーションすることでペイシェント・ジャーニーへの理解を深めることを可能にします。シミュレーション結果には内視鏡CG画像も含まれ、より視覚的に状態を理解することができます。なお両社は、MSLアプリで用いられているモデルを、学術論文などのデータや武田薬品が有する臨床試験データを用いて較正し、患者データによって精度を検証しています。そして、モデルの開発および検証に関する学術論文の掲載に向けて準備を進めています。
これらMSLアプリを用いたMSL活動は、武田薬品のペイシェント・ファースト・プログラムの取り組みの一環です。
Bodylogicalの検証に携わった北里大学北里研究所病院の小林拓特任准教授は、「治療の選択肢が拡がったことにより、臨床現場では、目の前の患者さんにとってのベストの治療を如何に選ぶかということが、大きな課題となっています。今回の取り組みは、この課題を解決し、選択肢の増加や治療の進歩を患者さんに本当の意味で還元するための、重要な一歩となります」と述べています。
武田薬品のジャパンメディカルオフィスヘッドであり、ペイシェント・ファースト・プログラムリードのジュベル・フェルナンデスは、「常日頃より私たちは、患者さんのニーズにお応えすることを念頭に置いており、本プロジェクトを通して実現できることに非常に心を動かされています。MSLアプリは、専門医とMSLがより活発な科学的議論を実施できることを目指しており、既に非常に前向きなご意見を頂いています。私たちが目指しているのは、クローン病患者さんがご自身の疾患に対して理解を深めるためのソリューションを提供していくことです」と述べています。
PwCコンサルティング、Strategy&のパートナーでBodylogicalのジャパン・リーダーの堤 裕次郎は、「武田薬品とPwCコンサルティングのパートナーシップは患者さんの力になるという共通のゴールの上に成り立っています。このパートナーシップを通して、クローン病治療の未来予測を可能とするシミュレーションツールを作り上げることができました。これは個別化医療の発展、ひいては患者さんのQOL向上への大きな一歩であると考えています」と述べています。
武田薬品とPwCコンサルティングは、今後、医師が臨床において使用可能な、デジタルツインシミュレーションモデルを活用した新たなツールの開発に取り組み、患者個人の特性に合った治療シミュレーションの精度を高めていきます。
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