- 2025/06/17 掲載
失敗だらけの要件定義「AIエージェント」で激変、成功確率「爆上げ」を断言できるワケ
フリーのテクニカルライター。コンシューマからエンタープライズまで、初心者向けの記事からテクニカルな解説記事、広告記事、企業取材記事などを手がける。執筆した書籍はこれまでに約80冊。オールアバウトでは「パソコンソフト」「ワード(Word)の使い方」「MS Officeの使い方」のガイドもつとめる。2008年からWordカテゴリーでのMicrosoft MVP。
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要件定義で失敗する「3つの原因」
システム開発における「要件定義」は、「何を作るか(What)」を決める重要なプロセスだ。それが明確でなければ「どうやって作るか(How)」も決められない。したがって、要件定義に不備が見つかると、そして見つかるタイミングが遅くなればなるほど、その修正には時間とコストがかかる。しかも、要件定義は簡単ではない。現実に多くの開発プロジェクトが、要件定義の不備によって失敗もしくは大幅な軌道修正を余儀なくされている。その詳細はビープラウド代表取締役社長 佐藤 治夫氏へのインタビューを参照いただきたいが、一部抜粋すると、要件定義で失敗する原因は主に3点が挙げられる。
1つは「目的の掘り下げが足りないこと」、2つ目は「一部のステークホルダーにだけ焦点を当てていること」、そして3つ目が「上下関係や部門間などのコミュニケーションの壁」だ。これらの問題が組み合わさることで、システム開発は期待通りに進まず、多くのリスクが生じることになる。

取締役CTO
神谷 亮平氏
だがこうした状況も「AIエージェント」(以下生成AIやAIエージェントをまとめてAIとする)によって大きく変わるかもしれないと語るのは、Shunkan AI 取締役 CTO 神谷 亮平氏である。
すでに現実化した「開発プロセスのAI化」
神谷氏が強調するのは、要件定義も含めた開発プロセス全体のAI化だ(詳細なプロセスは後編で解説します)。「企画、要件定義、開発、評価という各プロセスにAIを導入することで、人とAIが協働して作業を進めることが可能になりました。その結果、システム開発のプロセス全体が変わり、人の役割も大きく変わります(図1)。これは、私自身がシステムの開発を通じて経験していることです」(神谷氏)
「企画」「要件定義」の主役はあくまで人である。企画・要件定義に必要なアイデアや資料、文書などはAIが作成・提案するが、最終的な判断・決断は人が行う。
「評価」も同様だ。AIは評価に必要な材料を提供するが、最終的な評価は人が下し、その責任も人が負う。
一方、「開発」の主役はAIだ。AIは人が指示したプロンプトや条件に従って高速にコードを生成する。そのスピードに、人はもはやついていけない。人の役割は、生成AIが正しいコードを生成できるように環境を整えたり、生成されたコードを評価したりすることだ。
AIを取り入れた開発経験がないエンジニアには、にわかには信じられないかもしれないが、神谷氏が指摘しているように、これはすでに起きている現実である。では具体的にどのように変わるのだろうか。 【次ページ】数百倍の効率化も? AI活用の「最大メリット」
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