- 2021/05/28 掲載
地銀の経営改善、停滞懸念=若田部副総裁、政策委で指摘―日銀の支援策で・議事録
日銀が地方銀行などへの支援策導入を決めた昨年11月10日の政策委員会通常会合で、若田部昌澄副総裁が「要件となる数値達成に集中し、これを超える努力を怠る懸念はないか」と指摘していたことが27日、明らかになった。支援策活用の条件として日銀が定めた経費率が事実上のゴールとなり、地銀の経営改善への取り組みが停滞することに懸念を示した格好だ。
時事通信が情報公開請求により入手した議事録で判明した。
日銀が今年3月に導入した「特別当座預金制度」は、経費率を3年間で4%下げるなどの条件を満たせば、日銀が地銀から預かっている当座預金の金利を上乗せする仕組み。経営の効率性を示す経費率の改善を促すことで、人口減少や低金利で収益が悪化する地銀の経営基盤強化を後押しする狙いがある。
ただ、取り巻く環境が悪化する中、将来にわたり生き残るためには、日銀の支援策にかかわらず経営改善を続ける必要がある。若田部氏はそうした問題点を指摘した。高口博英金融機構局長(現理事)はこれに対し、「比較的高めの水準で必ずしも甘いものではない」と説明した。
若田部氏はまた、数値目標達成の効果について「経営基盤の強化が実現できる見込みはあるか」とも質問。高口氏は「地域金融の持続可能性は十分に高まる」との見通しを示した。
また片岡剛士審議委員も、数値目標について「地域金融機関の反応を十分考慮しながら慎重に決めてほしい」と注文を付けた。
支援策は経費率改善のほか、他の金融機関と経営統合した場合も適用される。日銀は多くの金融機関の応募を想定しており、黒田東彦総裁は今月19日の内外情勢調査会での講演で「手応えはある」と自信を示した。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本銀行本店=東京都中央区
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