- 2021/07/12 掲載
台湾の鴻海とTSMC、ビオンテックのコロナワクチン購入で契約
[台北 12日 ロイター] - 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と台湾積体電路製造(TSMC)は12日、独ビオンテックの新型コロナウイルスワクチンを1000万回分購入する契約を締結したと発表した。契約総額は約3億5000万ドルに上る。
中国での同ワクチン販売権を持つ上海復星医薬(上海フォサン・ファーマシューティカル) は、11日に契約締結を発表。ただ、ビオンテックはまだコメントを出しておらず、納入時期は明らかになっていない。
鴻海の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏はフェイスブックへの投稿で契約がまとまったことを「喜んでいる」と表明。鴻海とTSMCがそれぞれ500万回分を購入し、台湾政府に寄付する予定だとした。
「しかし私たちは気を緩めず、納入時期と量を詰めるために引き続き精力的に取り組む」と述べた。ワクチンはドイツの工場から直接送られる予定で、台湾の社会に安心感をもたらすだろうと続けた。
台湾当局は何カ月も前からビオンテックのワクチン購入に向けた働き掛けを行っていたが、中国が契約締結を妨害したと非難している。
台湾当局は先月、テリー・ゴウ氏とTSMCに対し、台湾当局の代理として新型コロナワクチンについて交渉することを認める方針を示した。
同氏は、交渉で中国からの介入はなかったと述べた。
台湾当局は12日にコメントを発表するとしている。
交渉に詳しい関係筋によると、最初のワクチン納入は早くて9月になる見込みだが、何回分になるのかは現時点で不明という。
ビオンテックはまだコメントを発表していない。また、上海復星は台湾にワクチンを提供できることを「非常にうれしく思う」と述べたビオンテック最高経営責任者(CEO)の発言を掲載した発表文書を対話アプリ「微信(ウィーチャット)」のアカウントから削除した。
上海復星は削除理由に関するコメント要請に現時点で応じていない。
台湾は、主に英アストラゼネカと米モデルナからのワクチン数百万回分を発注しているほか、米国と日本から合わせて500万回分近くの寄付を受けている。
関係筋は、TSMCの関与と日米によるワクチンの寄付により、台湾に有利な世界的環境が形成され、中国にとり今回の取引を妨害することが困難になったと指摘した。
台湾では比較的小規模な市中感染がほぼ落ち着いているものの、人口2350万人のうち約1割の人が2回必要な接種のうち少なくとも1回目を終えている。
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