- 2021/07/22 掲載
NY市場サマリー(21日)長期金利上昇、株高・ドル安
終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.2%安の92.755。前日は、デルタ変異株の感染拡大で世界的な経済成長が頓挫するとの懸念から、3カ月ぶり高値を付けていた。
しかし市場参加者の多くは、少なくとも今後数カ月のドルに対する強気見通しを維持。フォレックス・ドット・コムのマーケットリサーチ・グローバル主任、マット・ウエラー氏は、金利差やコロナ懸念に伴う安全資産としての需要が「ドルを向こう数週間支援する」と予想。同時に「リスク選好度が回復すれば、ドルの勢いは失速する可能性がある」と述べた。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「米国で見られるインフレの高まりが米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和縮小(テーパリング)の可能性を支えている」とし、ドルへのプラス材料を指摘した。
ドル/円は0.4%高の110.26円。
豪ドルは昨年11月以来の安値に沈んだ後、値を戻し、終盤は0.4%高の0.7357米ドル。
ニュージーランドドルも0.9%高の0.6976米ドル。
オーストラリアの人口が最も多い2つの州が21日報告した新型コロナ新規感染者は前日から大幅に増加し、全人口の半数を対象とするロックダウン(都市封鎖)の早期解除期待に水を差した。
英ポンドは0.6%高の1.3715ドル。前日は2月以来の安値を付けていた。
ユーロは0.2%高の1.1797ドル。22日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会に注目が集まる。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインはは7.4%高の3万1991ドルと、3万ドル台を回復。イーサは10%超急伸し、約1971.79ドル。
<債券> 米債利回りが上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する新たなロックダウン(都市封鎖)措置を巡る懸念が後退し、株式市場の上昇が堅固な経済回復を示唆した。
財務省が21日に実施した240億ドルの20年債入札は最高落札利回りが1.890%となった。DRWトレーディングのマーケットストラテジスト、ルー・ブライエン氏は、入札期限時の利回りを1ベーシスポイント(bp)超上回り、やや軟調だったと指摘。応札倍率も2.33倍と平均をわずかに下回ったとした。
10年債利回りは8.8bp上昇の1.297%。一時1.3%を上回った。
30年債利回りは7.4bp上昇の1.943%。
米議会予算局(CBO)は21日、上限適用停止措置を延長する法案が議会で承認されなければ、10月または11月に特定の給付プログラムへの資金提供などが滞ったり、債務不履行に陥ったりする可能性があるとした。
2年債利回りは1.6bp上昇の0.210%。2年債と10年債の利回り差は108.5bpだった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物 が2.482%、10年物が2.298%だった。
<株式> 続伸して取引を終えた。堅調な企業決算や米経済回復を巡り新たに楽観的な見方が広がったことがリスクオンにつながった。
主要3株価指数はいずれも終値ベースの過去最高値まで1%未満に迫った。
景気に敏感な小型株や半導体株、金融株がアウトパフォームした。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は「好決算および市場の回復と、新型コロナウイルス変異株『デルタ』に起因する経済鈍化懸念との間でシーソーのような状態が続いている」と指摘。「ただ、堅調な決算とおおむね良好な業績見通しが発表されており、デルタによる影響は対応可能との感触を得ている」と述べた。
米ユナイテッド航空が20日に発表した第2・四半期決算は、新型コロナ感染拡大が重しとなり、6四半期連続の赤字となった。ただ、ワクチン接種の進展で国内旅行需要が回復したことで、売上高は前年同期と比べ4倍になった。
これを受け、ユナイテッド航空は3.8%高。S&P1500航空株指数も3.3%高となったほか、S&P1500ホテル・レストラン指数は2.9%上昇した。
タズ社長は「週初にこれらの銘柄が下落したのは、旅行需要が鈍化し、全ての関連業界が困難に直面するのではないかとの新たな懸念が要因だったが、こうした懸念はなくなった」とし、「需要は予想通り続いており、デルタを巡る懸念によって人々が計画を変更しているとは思えない」とした。
米債利回りは低調だった20年債入札を受け、5カ月ぶりの低水準からの上昇が継続。これが金利敏感の銀行株の追い風となった。
米上院は21日、バイデン大統領が超党派と合意した1兆2000億ドル規模のインフラ投資法案の審議開始に向けた動議の採決を行った。しかし、共和党からの賛成は得られず、法案を進めるために必要な60票には届かなかった。
S&P主要11セクターでは、エネルギーが3.5%上昇。原油価格の上昇が寄与した。
第2・四半期の決算発表が本格化し、S&P総合500種構成銘柄の73社が発表。そのうち88%が市場予想を上回った。
企業決算の勝ち組では、メキシコ料理チェーン大手の米チポトレ・メキシカン・グリルが11.5%上昇し、S&P500構成銘柄で上昇率トップとなった。20日発表した第2・四半期決算は、既存店売上高と営業利益率がともに市場予想を超えた。
米飲料大手コカ・コーラは1.3%高。21日に売上高および利益の通期予想を上方修正した。
好決算を発表した米広告大手インターパブリック・グループは11.3%高となった。
米医薬・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は0.6%上昇。21日に2021年の売上高予想を上方修正した。医療機器部門の回復と乾癬・クローン病治療薬「ステラーラ」などへの需要増加が寄与するという。
一方、負け組では、米動画配信サービス大手ネットフリックスが3.3%安となり、S&P500構成銘柄で下落率2位だった。20日に発表した7─9月期の契約件数の増加見通しが市場予想を下回った。
営業利益見通しを下方修正した米二輪車大手ハーレー・ダビッドソンは7.2%安。
米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)は引け後に発表した決算を受け、時間外取引で3%超下落している。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.92対1の比率で上回った。ナスダックでは3.21対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は91億3000万株。直近20営業日の平均は101億7000万株。
<金先物> 米長期金利の上昇などが重しとなり、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比8.00ドル(0.44%)安の1オンス=1803.40ドル。 リスク選好ムードが広がる中、米長期金利の指標となる10年物国債利回りが1.29%台に上昇。金利を生まない金塊の圧迫要因となり、相場は一時1794.30ドルまで下落した。ただ売り一巡後は、ドルの対ユーロで下落を眺めてやや買い戻しが入り、金は下げ幅を縮小した。
<米原油先物> 米株高を眺めてリスク回避姿勢が後退する中、買いが膨らみ、大幅上伸した。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油種WTI9月物の清算値(終値に相当)は、前日比3.10ドル(4.61%)高の1バレル=70.30ドル。10月物は2.95ドル高の69.57ドルだった。
リスク投資意欲の改善を背景に米株価が堅調に推移し、長期金利が上昇する中、原油にも買いが先行した。米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した16日までの1週間の原油在庫は、前週比210万バレル増加。市場予想(450万バレル減)に反し、9週間ぶりに在庫積み増しに転じた。一方、ガソリン、ディスティレート(留出油)在庫はいずれもの取り崩しとなり、相場への影響は限定的だった。
ドル/円 NY終値 110.27/110.32
始値 110.13
高値 110.38
安値 110.05
ユーロ/ドル NY終値 1.1792/1.1796
始値 1.177
高値 1.1804
安値 1.176
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 109*26.00 1.9400%
前営業日終値 111*16.50 1.8690%
10年債(指標銘柄) 17時04分 103*02.00 1.2917%
前営業日終値 103*27.00 1.2090%
5年債(指標銘柄) 16時59分 100*21.25 0.7378%
前営業日終値 100*31.25 0.6740%
2年債(指標銘柄) 16時27分 99*26.75 0.2098%
前営業日終値 99*27.75 0.1940%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34798.00 +286.01 +0.83
前営業日終値 34511.99
ナスダック総合 14631.95 +133.08 +0.92
前営業日終値 14498.88
S&P総合500種 4358.69 +35.63 +0.82
前営業日終値 4323.06
COMEX金 8月限 1803.4 ‐8.0
前営業日終値 1811.4
COMEX銀 9月限 2525.5 +26.0
前営業日終値 2499.5
北海ブレント 9月限 72.23 +2.88
前営業日終値 69.35
米WTI先物 9月限 70.30 +3.10
前営業日終値 67.20
CRB商品指数 212.9847 +3.9957
前営業日終値 208.9890
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