- 2021/09/03 掲載
豪上場企業、昨年度の配当が過去最高に 今年度は視界不良
ティンダル・アセット・マネジメントの豪州株式担当トップ、ブラッド・ポッター氏は「企業は先行き不透明感を踏まえ、業績見通しを示していない。豪州経済は驚くほど底堅いが、現状を踏まえると、非常に強気な人はいないと思う」と述べた。
アイコンのデータによると、新型コロナの流行でロックダウン(都市封鎖)が導入されたものの、8月に2021年度決算を発表した上位200社の利益は、市場予想を若干上回った。
ただ、デルタ株の流行や高値圏にあったコモディティー価格の下落で、景気後退のリスクが浮上しており、アナリストは利益・配当予想を下方修正している。
シティグループが調査対象にしている156社の2021年度の利益総額は37%増加したが、同社は2022年度の利益総額の予想を2.9%下方修正し、1240億豪ドルとした。
業種別では、銀行セクターの利益予想を約5%下方修正。コア利益の見通しが低迷しているという。鉱業セクターの利益予想は、鉄鉱石価格の急落を受けて、約4%下方修正した。
JPモルガンによると、配当のコンセンサス予想は約3.1%下方修正された。
クレディ・スイスのポートフォリオマネジャー、マイク・ジェネク氏は「短期的な上方修正の動きは鈍っているようだ」と発言。
それでも、シティは2022年度の利益総額が16%増加すると予想。ワクチン接種の進展や累積需要の顕在化で、特に金融、素材、一般消費財セクターの下期の業績が改善すると分析している。
これに対し、ロイターのデータによると、米国企業の第3・四半期決算は7.2%の減益が予想されている。第2・四半期は12.4%の増益だった。
クレディ・スイスによると、2022年の世界の企業の利益総額は8%増加する見通し。2021年は46%の増益だった。
オーストラリア企業の2021年度の決算発表では、80%の増配に加え、総額180億豪ドル以上の自社株買いも発表された。
アトラス・ファンズ・マネジメントのヒュー・ダイブ最高投資責任者は「好決算を発表した企業でも、先行きはやや不透明だ。好業績を維持するのは難しいだろう」と述べた。
医療診断サービスのソニック・ヘルスケアは大幅な増益を確保したが、新型コロナの流行を理由に業績予想を示さなかった。
病院経営のラムゼー・ヘルスケア、小売りのコールズ・グループ、廃棄物処理のクリーナウェイ・ウエイスト・マネジメントも明確な業績予想を示していない。
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