• 2025/08/11 掲載

「習慣化は意志の強さ」という大ウソ、脳科学でわかった「続ける人」の共通点

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三日坊主で悩む人の共通点は「習慣化には大きな努力が必要」という間違った思い込みにある。「自分は意志が弱いから続かない」と諦めている人も、脳科学の研究で判明した習慣化の「3つの原理」を知れば、自然に新しい習慣を身につけることができるという。『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科 人生が変わるテクニック112個集めました』を上梓した言語学者(法言語学、心理言語学)で明治大学教授の堀田秀吾氏が、科学的根拠に基づく「習慣化メソッド」を解説する。
執筆:言語学者 堀田 秀吾

言語学者 堀田 秀吾

言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。1991年、東洋大学文学部英米文学科卒業。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授、2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。著書に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)など多数。

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気づけば二度寝、運動は三日坊主…そんな人も自然に習慣をつくれる「3つの原理」を解説
(Photo/Shutterstock.com)

習慣化に「意志の強さ」や「特別な才能」など必要ない

 朝早く起きたいと思っているのに、気がつけば二度寝。

 運動をはじめようと決意したのに、三日坊主。

 毎日コツコツ続けようと思った勉強も、気づけばノートのホコリだけが積もっていく──。

 そんな自分に、がっかりしたことはありませんか?

 「自分は意志が弱いからダメなんだ」と責めたり、「続けられる人って、特別なんじゃないか」と、あきらめてしまったり。

 実はこれ、すべて“ある思い込み”が原因です。

 それは、「習慣化には大きな努力が必要だ」という思い込み。

 でも、本当にそうでしょうか?

 たとえば毎朝、顔を洗うこと。食後に歯を磨くこと。スマホをなんとなく手にとること。これらもすべて「習慣」です。だけど、誰かに強制されたわけでも、毎日ものすごい努力をしているわけでもありませんよね。

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毎朝顔を洗う、食後の歯磨き、スマホをなんとなく手にとる─これらもすべて「習慣」だ
(Photo/Shutterstock.com)

 習慣化とは、「意志の強さ」や「特別な才能」がある人だけの特権でもありません。あるいは、精神力や自己管理能力の問題でもないのです。むしろ、原理とコツさえつかめば、驚くほどスムーズに身につけることができます。

 ここでは、誰でも自然に習慣をつくれる、3つの原理をご紹介します。これさえ押さえておけば、脳も体もスムーズに動きはじめ、生活の中に新しい習慣をとり入れることができます。

人間がなかなか動き出せず、腰が上がらないシンプルな理由


 では、1つ目の「まず動く」から説明していきましょう。

 人間がなかなか動き出すことができず、腰が上がらない理由はとてもシンプルです。

 「やらないから動けない」のです。

 そんなの当たり前じゃない? と思われるかもしれませんが、やりはじめないかぎり脳のやる気を生み出す部位(側坐核〈そくざかく〉)が働きださないことがさまざまな脳科学の研究でわかっています。

 電動自転車の電源ボタンを押しても、自転車は前に進みませんよね?

 同様に、残念ながら人間の脳にはスイッチ1つでやる気をうながすような便利な機能は備わっていないんですね。

 簡単に脳のやる気をオンにしてくれる“スイッチ”なんてない。やる気は“スイッチ”ではなく、“エンジン”だと考えてください。

 昔の飛行機は、人力でプロペラをぐるぐる回して始動させていましたが、人間も同じです。

 スイッチを入れるとパッと始動するのではなく、無理矢理体を動かすことで、徐々にやる気は発動していきます。だからこそ、「まず動く」ことが大切なのです。

 ですから、やりたくないという気持ちが働きそうになったら、まず小さくてもいいから動くこと。

 脳は一度その行動をはじめると、のめり込んでしまうという性質をもちます。その正体こそ「側坐核」と呼ばれる脳の部位です。「側坐核」を刺激するには、体を動かして行動することが重要です。

 想像してほしいのが、部屋の片づけやお風呂掃除です。とりあえずはじめてみると、「こんなに掃除するつもりなかったのに!」と感じてしまうほど、はかどったりしませんか?

 これこそ「側坐核」が稼働している証左であり、エンジンさえかかれば脳のプロペラは勝手にどんどん回ってくれることを物語る好例です。

 何か新しい習慣を身につけようと思ったとき、どうしても最初の一歩が重くなってしまうと思います。しかし、人間は動きだしさえすれば、脳が「動いたんだったらもっとサポートしようか?」とより拍車をかけてくれるのです。

 ジョギングなどは典型例ですが、あまり走ることが好きではなかったという人がのめり込んでしまうあまり、「今では走らないと気もち悪い」という心理にまで変わってしまうのは、まさに脳の性質を表しています。

 「まず動く」。言い換えるなら、「まずやってみる」ことです。そして、少しだけ我慢して続けると、やる気のエンジンはどんどん調子を上げていきます。

 そういうことを繰り返していくうちに、脳の中に専用の神経回路ができあがって、最初は億劫だった行動も、気がつくと“必要不可欠な習慣”になっているのです。 【次ページ】ベストセラー著者が提案する、新たな習慣がすぐ身につく方法
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