- 2021/09/03 掲載
日産、電動車用モーターからのレアアース回収コスト半減 早大と開発
脱炭素化に向け電動車の普及が加速する中、電動車に欠かせないレアアースは安定的な確保が必要。ただ、中国など特定地域に偏在しており、地政学リスクがあるほか、需給ひっ迫による価格変動などもあり、自動車メーカーにとって使用量の削減が課題になっている。リサイクルが進んで購入量を抑えられれば、車両価格にも反映できる。
現状は、手作業でモーター部品を解体して磁石を分解するなどしてレアアースを回収しているが、新技術ではモーターをそのまま、銑鉄などと混ぜて1400度以上に加熱した炉に入れて溶かす。炉内の溶融液に安価で入手しやすいホウ酸塩系の物質などを加え、レアアースを含んだ層と含まない層に分離し、98%という高い回収率でレアアースを取り出すことができる。日産と早大によると、こうした手法でレアアースを回収するのは世界初という。
例えば、モーター部品50個からレアアースを取り出す場合、現状では8時間かかるが、新技術では4時間で済む。現在は加熱する炉が小さいために一度に融解できるモーター部品の個数が少ないが、今後は大型の炉を持つ他社との協業なども進めて、1度に融解できる個数を増やすなどの実験を重ねる。
日産はレアアースの使用量を抑える取り組みを強化している。多くの電動車が使用しているレアアースの必要な永久磁石そのものを使わないモーターを、今冬発売予定のEV戦略車「アリア」で採用している。
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