• 2021/10/14 掲載

インフレ対応の緩和縮小、当面は選択肢になり得ず=野口日銀委員

ロイター

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[東京 14日 ロイター] - 日銀の野口旭審議委員は14日、鳥取県金融経済懇談会(オンライン形式)で挨拶し、インフレ率の上振れで各国の中央銀行が金融緩和の縮小に動きつつあるが、日本の場合はペントアップ(繰り越し)需要の高まりでインフレ率が上昇する可能性は高くなく、緩和縮小は当面、選択肢になり得ないと指摘した。

日銀の課題は、ペントアップ需要が押し上げる物価上昇に向けたモメンタムを金融緩和の継続で持続させ、物価目標の達成につなげていくことだと述べた。

松野博一官房長官は同日の臨時閣議後の会見で、日本時間の同日朝までに行われた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議に関し「物価動向について足元の動向を注視し、必要に応じ中銀のマンデートに沿って対応することが確認された」と述べた。

野口委員は、各国ではペントアップ需要などでインフレ率の上振れが生じているが、「日本ではおそらく、こうしたマクロ経済状況が生じる可能性はそれほど高くはない」と語った。

一方で、現在の局面での財政政策の重要性を強調。コロナ禍によって家計や企業が被る経済的な打撃を可能な限り抑制し、正常な経済活動への復帰を可能な限り早く実現させるためには「政府による十分な財政的支援が必要不可欠」と述べたほか、コロナ禍の政策対応で金融政策も一定の役割を果たしてきたが「より大きかったのは財政政策の方だ」と語った。

野口委員は、拡張財政と金融緩和のポリシーミックスについて、経済の正常化が課題となる「脱コロナ禍経済」でも重要になるだけでなく、「2%の物価安定目標の達成によるデフレからの完全脱却という積年の課題を持つ日本においては、こうしたポリシーミックスの重要性はよりいっそう強く言える」と語った。

来年3月が期限となっている新型コロナ特別プログラムについては「感染症の経済へ

の影響が十分に和らいでいけば縮小させるべきものだが、その判断は慎重でなければならない」と述べた。新型コロナの先行きの経済への影響は依然不透明で、特別プログラムの扱いは感染症の状況を踏まえて適切に判断していくと話した。

気候変動問題への対応については、中央銀行のマンデートを意識しつつ「状況や知見の変化に柔軟に対応していくことが重要」と述べる一方、気候変動問題がマクロ経済に具体的にどのような影響を及ぼすのか、必ずしも十分な知見が蓄積されているとは言えないとして「より一層の調査・研究が必須だ」とした。

<景気回復、年末以降により明確化>

野口委員は日本経済について、足もとでは対面型サービスの苦境が続いているものの、先進国を中心とした海外経済の回復に牽引される形で「日本経済全体としては持ち直している」と指摘。先行き、対面型サービスは当面厳しい状況が続くとみられるものの、 その後はワクチン接種が一段と進捗して感染症の影響が和らいでいく中で「年末以降には回復がより明確化していく」との見通しを示した。

もっとも、夏場の感染急拡大で緊急事態宣言が長引いたことで「経済正常化局面はやや後ろ倒しされた」とし、自動車関連を中心としたサプライチェーンへの影響も含め、「変異株の感染拡大に伴う経済下振れリスクには、今後とも大きな注意が必要だ」と付け加えた。

(和田崇彦)

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