- 2021/10/27 掲載
NY市場サマリー(26日)ドル小幅高、ダウとS&Pが最高値
<為替> 狭いレンジでの取引となる中、ドルが小幅上昇。今週から来週にかけ開催される主要中銀の金融政策決定会合待ちとなっている。
週内には欧州中央銀行(ECB)理事会や、日銀、カナダ中銀の金融政策決定会合が開かれるほか、来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)に加え、イングランド銀行(英中央銀行)や豪準備銀行(RBA)、ノルウェー中銀も会合を開く。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.1%高の93.9280。
ドルは月初に付けた1年ぶり高値と25日付けた1カ月ぶり安値の中間点近辺を推移。アナリストは、各国の金融政策会合や一連の経済指標の発表が待たれる中、ドルが当面安定的に推移する可能性があるとみている。
ユーロ/ドルは0.1%安の1.1597ドル。
ポンド/ドルは横ばいの1.3764ドル。英産業連盟(CBI)が発表した10月の英小売売上高が予想を上回る伸びとなったことを受け、一時節目となる1.38ドルを上抜ける場面もあった。
資源価格の動向と連動しやすい豪ドルは0.2%高の0.7506米ドル。
ドル/円は0.4%高の114.14円。しかし、先週付けた4年ぶりの高値となる114.695円を下回る水準にとどまった。 日銀は27―28日の金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和を維持する公算が大きい。
原油相場の上昇に追随し、カナダドルは小幅高。しかし、カナダ中銀の会合を控え、大きな動きは出にくかった。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1%安の6万2343ドル。
<債券> 薄商いの中、長期債利回りが3日連続で低下し1週間ぶりの低水準を付けた一方、5年債利回りは上昇するなどまちまちとなった。投資家は利上げ時期を探る上で来週のFOMCに注目している。
財務省が26日に実施した2年債入札は堅調。最高落札利回りは0.481%で入札締め切り時の予想利回りを下回った。応札倍率は2.69倍と平均の2.50倍を上回った。
予想を上回る経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)による早期利上げが織り込まれ、短期債利回りが上昇。イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化し、5年債と30年債の利回り差は86.9ベーシスポイント(bp)に縮小した。
コンファレンス・ボード(CB)が26日に発表した10月の米消費者信頼感指数は113.8と、前月の109.8から予想に反し上昇した。上昇は4カ月ぶり。高インフレを巡る懸念が労働市場の見通し改善によって相殺され、第4・四半期初めの経済成長回復を示唆した。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は5年物が2.985%と少なくとも2004年1月以来の高水準、10年物が2.695%と06年5月以来の高水準となった。
FRBによるテーパリング(量的緩和の縮小)が6月頃終了するとみられているにもかかわらず、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が織り込む6月の利上げ確率は70%となっている。また来年12月の追加利上げも想定されている。
午後の取引で、指標10年債利回りは約2bp低下し1.6185%。30年債利回りも3bp低下し2.0506%となった。
一方、5年債利回りは0.5bp上昇し1.1828%となった。先週は1.193%と8カ月ぶりの高水準を付けていた。
<株式> ダウ工業株30種とS&P総合500種が最高値を付けたものの、フェイスブックに売りが出たことで上値は重かった。
前日に決算を発表したフェイスブックは第4・四半期について、アップルのプライバシー規約変更の影響がデジタル部門の業績を圧迫するとの見通しを表明。株価は3.92%下落し、フェイスブックに対する売りがS&Pとナスダック総合に対する最大の重しになった。
同社株は3月8日以降初めて終値で200日移動平均線を下回り、さらに下落する可能性が示唆された。
ケース・キャピタル・アドバイザーズのマネジングパートナー、ケン・ポルカリ氏は「決算は確かにさえなかったが、フェイスブックは他に問題を抱えている」と述べ、元社員の内部告発などで同社のプラットフォームのユーザーを危険にさらしてまで利益を追求する姿勢が浮き彫りになっている問題に言及。これが影響しているとの見方を示した。
ただS&Pはこの日、エヌビディアなど時価総額の大きい銘柄の上昇に支援されて最高値を更新した。エヌビディアは6.70%上昇し、最高値で終了。アマゾン・ドット・コムは1.68%高、アップルは0.46%高。
決算発表後にユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が6.95%、ゼネラル・エレクトリック(GE)が2.03%上昇したことも指数を押し上げた。
S&Pの主要11セクターはこの日、ほぼ全てが上昇したものの、公益事業や不動産といったディフェンシブセクターの上げが目立ち、市場に若干の警戒感があることが示された。
引け後に決算を発表したマイクロソフトは時間外取引で1.29%上昇、グーグル親会社アルファベットは0.24%下落した。
玩具メーカーのハスブロは通常取引を3.23%高で引けた。年末商戦期の売上高についてサプライチェーン問題が影響すると警告したものの、第3・四半期の利益が市場予想を上回った。
<金先物> 安全資産として売りが優勢となり、3営業日ぶりに反落。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比13.40ドル(0.74%)安の1オンス=1793.40ドル。
米主要企業の好調な業績が伝えられる中、投資家のリスク選好姿勢が強まり、安全資産とされる金塊の売りが活発化した。対ユーロでドル高に転じたことも、ドル建て商品である金塊の割高感を強め、金相場の圧迫要因となった。
市場では、来週開催されるFOMCに関心が集まっている。
<米原油先物> 続伸し、世界的な需給引き締まり観測を支えに上昇した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.89ドル(1.06%)高の1バレル=84.65ドル。中心限月ベースの清算値としては2014年10月以来約7年ぶりの高値を更新した。1月物は0.75ドル高の83.36ドル。
朝方にかけては、前日に一時85ドル台に上昇した反動から売り買いが交錯し、83ドル台で方向感なく推移したが、その後再び買いが活発化した。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は最近、大幅な増産を見送っている。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのナセル最高経営責任者(CEO)がインタビューで、「余力が縮小している」として世界での産油能力の低下を指摘し、生産への投資が必要だと述べたと伝わったことも、供給不足への警戒感を強めたもよう。北半球が暖房油(ヒーティングオイル)需要が増大する冬を控え、世界的なエネルギー供給不足に対する懸念は根強い。
米コンファレンス・ボードがこの日発表した10月の消費者景気信頼感指数は前月から上昇し、市場予想も上回った。米消費者の旅行などへの意欲の底堅さを示す内容で、原油の買い材料となった。
ドル/円 NY終値 114.14/114.17
始値 114.01
高値 114.30
安値 113.92
ユーロ/ドル NY終値 1.1595/1.1598
始値 1.1621
高値 1.1625
安値 1.1586
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*04.50 2.0386%
前営業日終値 98*04.00 2.0850%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*24.00 1.6097%
前営業日終値 96*16.75 1.6350%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*17.75 1.1778%
前営業日終値 98*17.75 1.1780%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*19.88 0.4478%
前営業日終値 99*20.50 0.4370%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35756.88 +15.73 +0.04
前営業日終値 35741.15
ナスダック総合 15235.72 +9.01 +0.06
前営業日終値 15226.71
S&P総合500種 4574.79 +8.31 +0.18
前営業日終値 4566.48
COMEX金 12月限 1793.4 ‐13.4
前営業日終値 1806.8
COMEX銀 12月限 2408.8 ‐50.4
前営業日終値 2459.2
北海ブレント 12月限 86.40 +0.41
前営業日終値 85.99
米WTI先物 12月限 84.65 +0.89
前営業日終値 83.76
CRB商品指数 241.1844 +0.6006
前営業日終値 240.5838
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