- 2021/10/30 掲載
関西スーパー、「名門」傘下で問われる成果=押し寄せる価格競争の波
関西スーパーマーケットをめぐる争奪戦は、エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングに軍配が上がった。低価格を売りに首都圏で地位を確立するオーケー(横浜市)を袖にして、地元の名門H2Oグループ入りを選んだ関西スーパー。しかし近畿圏ではオーケーと同じディスカウントスーパー(DS)が勢力を広げており、今回の選択が正しかったのか今後問われることになる。
日本チェーンストア協会によると、全国のスーパー売上高は2020年度こそ新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり消費」で前年度比プラスとなったものの、それまでは4年連続のマイナス。「減少するパイを奪い合う」(関西スーパー関係者)という厳しい争いの中、34年連続増収のオーケーをはじめとするDSが存在感を増している。
関西圏は「価格だけではなく品質や品ぞろえへの要求が高い」(流通大手幹部)といい、価格勝負のDS業態が育ちづらい土地柄。しかし、長引くデフレの影響もあり近年は他地域から進出が相次ぐ。川崎市のロピアは昨年から関西に6店を出店。岐阜県発祥のバローは19店舗に勢力を広げた。「ラ・ムー」などのブランドで約50店を出店した岡山県倉敷市の大黒天物産の担当者は「関西にはDS業態が入り込む余地がある」と指摘、競合相手が少なく売り上げは好調を維持しているという。
臨時株主総会終了後、H2Oの林克弘副社長は「価格だけが重要な提供価値ではない」とDS業態の脅威を否定してみせた。ただ、総会に参加した男性株主は「消費者が良いものを安く手に入れる機会がなくなった」と残念がっていた。
関西スーパーは「そもそも業態に大きな相違がある」との理由でオーケーを拒否した。伊丹十三監督の映画「スーパーの女」の舞台とされる関西スーパーが、縮小する市場の中で映画さながらの経営努力で成長を遂げられるのかは見通せない。
【時事通信社】
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