- 2021/10/30 掲載
NY市場サマリー(29日)ドル上昇、国債利回りまちまち 株は小幅高
<為替> 主要通貨に対するドル指数が上昇。米債利回りが物価高止まりの継続を示す米指標を受けて上昇したことに追随した。
終盤の取引で、ドル指数は0.8%高の94.102。
ユーロの下げが目立ち、対ドルでは1.05%安と、少なくとも6月以来の大幅な下げを記録。対ポンドでも0.4%、対スイスフランでも0.7%、それぞれ下落した。
ユーロは前日、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が理事会後に、来年には物価圧力は緩和するとの考えを示したことを受けて上昇していた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「市場と主要中銀の見解の乖離が、(為替相場などで見られる)ボラティリティーの源となっている可能性がある」と述べた。
来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)に加え、イングランド銀行(英中銀)、オーストラリア準備銀行(RBA)の金融政策決定会合が開かれる。
アナリストの間からは、月末を控えたポートフォリオリバランスもボラティリティーの一因になったという指摘も聞かれた。
米商務省が29日発表した9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同期比4.4%上昇し、約30年ぶりの高水準となった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE指数は前月比0.2%上昇、前年同月比では4カ月連続で3.6%上昇した。
欧州連合(EU)統計局が発表した10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比4.1%上昇と、13年ぶりの高い伸びを記録した。
ポンド/ドルは0.7%安の1.3698ドル。
ドル/円は0.3%高の113.92505円。
豪ドル/米ドルは0.3%安の0.7521米ドル。
暗号資産(仮想通貨)のイーサは一時、最高値となる4460ドルを付けた。ビットコインは3%高の6万2330ドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米債利回りがまちまちとなった。2018年12月以降で初となる米連邦準備理事会(FRB)による利上げの時期と回数を巡り不透明感が強まる中、売りが抑制され、一部で利回りが高水準から低下した。
FRBは来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の縮小)に関し発表すると見込まれているが、市場はテーパリング後の利上げに注目している。
TDセキュリティーズは調査ノートで「米債は利上げサイクルの早期開始につながる高インフレを巡るFRBの懸念に敏感に反応している」とした。
米労働省が29日発表した第3・四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比で1.3%上がり、2001年以降で最大の上昇率となった。
また、米商務省が29日発表した個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.3%、前年同期比4.4%上昇。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安とする変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE指数は前年同月比で4カ月連続で3.6%上昇した。
これらの指標はFRBがインフレ抑制に向け積極的な政策措置を実施するとの見方の追い風となった。フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場は22年7月までの0.25%ポイントの利上げと12月までの追加利上げを完全に織り込んだ。
ただ、ウェルズ・ファーゴは23年半ばの最初の利上げを想定。23年のインフレ率が急激に鈍化し、コアPCE指数が1%台後半から2%近辺になるとの見方をFRBがしているのであれば、「新たな枠組みに基づき、長期にわたるインフレ高進を許容することが可能だろう」とした。
一方、投資家は来年の利上げを見込んでいるため、イールドカーブ(利回り曲線)は引き続きフラット化。5年債と30年債の利回り差は72.9ベーシスポイント(bp)と20年3月以来の水準に縮小した。終盤は75bp。
午後の取引で、指標10年債利回りは1bp低下の1.5574%。週間の低下幅は8bpと7月初旬以来の大きさとなった。
2年債利回りは1bp弱低下し0.4911%。月間では21bp上昇し、2018年4月以降で最大の上昇となった。
5年債利回りは横ばいの1.1896%。月間では20bp上昇。2月以降で最大だった。
10年物価連動国債(TIPS)利回りもマイナス0.889%と1週間超ぶりの高水準を付けた。終盤はマイナス0.977%。TIPSと通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は10年物が2.536%に低下した。
20年債利回りは1bp上昇の1.9878%。一方、30年債利回りは2bp低下の1.9410%となり、逆ざやが続いた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 序盤の下げから切り返し、小幅高となった。アマゾン・ドット・コムやアップルが失望的な決算を受けて売られたものの、マイクロソフトの上昇が相殺した。
マイクロソフトは331.62ドルと最高値で引けた。時価総額は2兆4900億ドルとなり、アップルの約2兆4800億ドルを上回った。
アップルは1.81%安。10─12月期について「前年比の需要の伸びは非常に堅調になると見込んでいる」とした上で、供給制約の影響は7─9月期の60億ドルよりも大きくなるとの見通しを示した。
アマゾンも2.15%下落。インターネット通販事業が減速する中、人手不足などによるコスト増加が年末商戦と重なる第4・四半期の業績に影響を及ぼす可能性があるとの見方を示した。
アメリプライズ・フィナンシャル(ボストン)のチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏は、時価総額で全体の10%を占めるアップルとアマゾンの2社が売られても市場全体を示す指数は底堅く推移したと指摘。これは現在のトレンドが損なわれていないことを示唆するとした。
S&P総合500種は序盤の取引で一時0.65%安となる場面があった。週間では1.3%上昇。上昇は4週連続で、4月以降で最長となった。月間では6.9%高と上昇率は2020年11月以降で最大となった。
ダウ工業株30種は週間で0.4%上昇、ナスダック総合は2.7%高となり、ともに4週連続の上昇となった。月間上昇率はダウが5.8%で3月以来、ナスダックが7.3%で20年11月以来の大幅高となった。
リフィニティブのデータによると、29日午前時点でS&P500構成銘柄のうち279社が決算を発表し、82.1%が市場予想を上回った。第3・四半期の増益率は39.2%となっている。
米商務省が29日発表した9月の個人消費支出は前月比0.6%増と、市場予想の0.5%増を上回った。8月の消費支出も当初発表の0.8%増から1.0%増に上方改定され、消費支出が底堅く推移していることが示された。しかし、世界的な供給制約を背景に自動車などの商品が不足し、物価押し上げにつながっている。
個別銘柄では、製薬大手アッヴィが4.56%上昇。2021年の調整後利益見通しを引き上げた。上方修正は今年に入り3回目。
一方、コーヒーチェーン大手スターバックスは6.30%安。28日発表した第4・四半期(10月3日まで)決算は、世界の既存店売上高が市場予想を下回った。中国での新型コロナウイルス感染再拡大に伴う店舗閉鎖などの影響が重しとなった。
ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.14対1の比率で上回った。ナスダックでは1.02対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は111億2000万株。直近20営業日の平均は103億5000万株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 対ユーロでのドル高が重しになり、3日ぶりに反落した。中心限月12月物の清 算値(終値に相当)は前日比18.70ドル(1.04%)安の1オンス=1783.9 0ドル。10月の月間では26.90ドル(1.53%)の上昇となった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ドル高などを受けて売られた後で、持ち高調整の買いなどが入り、続伸した。米 国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.76ドル (0.92%)高の1バレル=83.57ドル。10月月間では中心限月ベースで11. 38%上昇した。1月物は0.32ドル高の81.78ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 114.00/114.03
始値 113.74
高値 114.09
安値 113.73
ユーロ/ドル NY終値 1.1561/1.1565
始値 1.1652
高値 1.1654
安値 1.1536
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 101*12.00 1.9390%
前営業日終値 100*26.50 1.9630%
10年債(指標銘柄) 17時05分 97*06.00 1.5609%
前営業日終値 97*03.75 1.5690%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.75 1.1848%
前営業日終値 99*22.00 1.1900%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.00 0.5010%
前営業日終値 99*24.00 0.5010%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35819.56 +89.08 +0.25
前営業日終値 35730.48
ナスダック総合 15498.39 +50.27 +0.33
前営業日終値 15448.12
S&P総合500種 4605.38 +8.96 +0.19
前営業日終値 4596.42
COMEX金 12月限 1783.9 ‐18.7
前営業日終値 1802.6
COMEX銀 12月限 2394.9 ‐17.1
前営業日終値 2412.0
北海ブレント 12月限 84.38 +0.06
前営業日終値 84.32
米WTI先物 12月限 83.57 +0.76
前営業日終値 82.81
CRB商品指数 237.6960 ‐0.7767
前営業日終値 238.4727
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