- 2021/11/26 掲載
米FRB、緩和縮小加速へ=物価高懸念、雇用改善で―12月にも決定
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が11月に開始したばかりの量的金融緩和策縮小のペース加速を、12月14、15日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で決める可能性が強まっている。インフレが高止まりしている一方で、労働市場の改善が進んでいるためだ。
24日公表された10月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比5.0%上昇と、FRB目標の2%を大きく上回り、31年ぶりの高さとなった。新型コロナウイルス危機からの経済再開に絡んだ需要急増に供給が対応できず、エネルギー価格高騰と相まって、幅広い品目で物価を押し上げている。
一方、新規失業保険の申請件数は直近の週で52年ぶりの低水準を記録。失業保険の受給者数も順調に減っており、雇用回復の力強さを示した。
FRBはこれまで、目標を超過する物価高をやり過ごし、金融緩和を堅持してコロナ危機で大きく打撃を受けた雇用の回復に努めていた。しかし、労働市場の持ち直しが鮮明となる中、政策スタンスを変えつつある。
FOMCメンバーのデイリー・サンフランシスコ連邦準備銀行総裁は24日、メディアとのインタビューで「基調的な経済の勢いは非常に強い」と指摘した。FRBは11月半ばから月1200億ドル(約13兆8000億円)規模の国債など資産購入を同150億ドルずつ減らし、量的緩和を縮小している。デイリー氏は雇用回復継続などを前提に「縮小加速を完全に支持する」と表明した。
量的緩和を早めに終えれば、事実上のゼロ金利解除の前倒しが視野に入ってくる。11月初めに開かれたFOMCの議事要旨によると、多くのFRB高官がインフレ高止まりが続くならば「想定より早期の利上げに備えるべきだ」と主張。世界経済に大きな影響を及ぼすFRBの金融政策の転換がそう遠くないことをうかがわせた。
【時事通信社】 〔写真説明〕コンテナが山積みになったロサンゼルス港の埠頭=24日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(AFP時事)
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