- 2021/12/08 掲載
株主総会、採決集計に課題=関西スーパー・H2O統合問題
関西スーパーマーケットがエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングとの経営統合に向けて前進した。臨時株主総会で承認された統合は、採決の集計手続きをめぐってオーケー(横浜市)との法廷闘争にもつれこみ、大阪高裁が7日、関西スーパーに軍配を上げた。ただ、今回の高裁判断は株主総会での議決権の取り扱いについて主催者側に裁量の余地を認めたことになり、専門家は「今後、混乱を招く可能性がある」と指摘。企業の総会運営に課題を残した。
争点となったのは、10月下旬の臨時総会で、関西スーパーが投票締め切り後に法人株主の申告に従って白票(棄権)を賛成票に変更したことだ。採決結果は僅差で、この投票が議案の賛否に直結する異例の事態となった。神戸地裁は「いったん回収箱に入れた以上、形式的な誤りであっても訂正できない」と判断。統合差し止めを命じる仮処分を決定した。
一方、大阪高裁は「投票用紙以外の事情も考慮して株主の意思を把握し、議決に反映することが求められる」と、賛成票への変更を容認した。今後、同様のケースが起きれば、主催者側は株主の意思をどこまで踏まえるべきか難しい決断を迫られる。
企業法務に詳しい牛島信弁護士は「株主の真意が何よりも重要」と高裁の判断を支持する。ただ、「株主すべてが総会に詳しいわけではない。どの会社も議決権の取り扱いには一段と慎重になることが求められる」とくぎを刺した。
【時事通信社】
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