- 2022/01/27 掲載
米の財貿易赤字、12月は過去最高の1010億ドル 輸入増で
2021年第4・四半期も貿易が経済成長の足かせとなる可能性が高いことを示唆している。貿易は5四半期連続で国内総生産(GDP)成長率の低下に寄与してきた。企業が枯渇した在庫の補充を続けていることから、大幅な貿易赤字は当面続くとみられる。
財の輸入は2.0%増の2583億ドル。資本財や自動車、消費財がけん引した。食料品や工業用品の輸入は減少した。
財の輸出は1.4%増の1573億ドル。消費財、工業用品、自動車、資本財の輸出が増加した。食料品は減少した。
ハイフリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク州)のチーフ米国エコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)下での消費者の嗜好の変化と、旺盛な需要により輸入が急増し、輸出を引き続き上回っているため、貿易赤字が過去最高になった」と分析した。
一方、小売業者や卸売業者の在庫蓄積のペースが加速しており、貿易赤字拡大によるGDPへの影響を相殺している可能性が高い。
小売在庫は4.4%増加した。11月は2.0%増だった。
自動車および自動車部品の在庫は6.8%増。11月の4.3%増から増加幅が加速した。これまで、世界的な半導体の供給不足で自動車の生産台数は減少していた。
自動車を除く小売在庫は3.6%増で、こちらも11月の1.2%増から増加幅が加速した。
卸売在庫は11月の1.7%増に続き、2.1%増となった。耐久消費財、非耐久消費財ともに増加した。
コロナ感染拡大に伴う世界的な品不足により在庫の蓄積が抑制されていたが、この2カ月間に堅調な増加が見られたことから、サプライチェーンの混乱は最悪の時期を脱したと期待される。
ただ、ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「サプライチェーンの問題が緩和されるには時間がかかるとみられ、米国の財インフレは高止まりする可能性がある」と指摘した。
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