- 2022/04/15 掲載
米金融大手、2ケタ減益=ロシア関連で損失計上―1~3月期決算
【ニューヨーク時事】JPモルガン・チェースなど米金融大手5社が14日までに発表した2022年1~3月期決算では、全社の純利益が前年同期比2ケタ減となった。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げやロシアのウクライナ侵攻により、市場が不安定化。市場を通じた企業の資金調達が鈍化し、株式や債券の引受手数料が大幅に減少した。ロシア関連の損失も響いた。
JPモルガンの純利益は前年同期比42%減の82億8200万ドル(約1兆470億円)。ロシア向け融資などの焦げ付きや、利上げによる景気減速を警戒し、将来の損失発生に備え引当金を約9億ドル積み増し。ロシアからの供給不安などによる商品市場の混乱に関連し、5億ドル超の損失が発生したことも利益を圧迫した。
シティグループは、ロシア関連の損失に備え新たに約19億ドルを引き当てた。同社幹部は、ロシア向けの融資を大幅に減らすなどしたものの、将来的には最大30億ドルの損失が発生する恐れがあるとの見通しを示した。
不安定な市場環境も逆風となった。JPモルガンなどは、企業のM&A(合併・買収)の助言手数料収入が堅調に推移したが、資金調達を支援する株式などの引き受けが急減。ゴールドマン・サックスのソロモン最高経営責任者(CEO)は、「急速な市場環境の変化により、株式発行がほぼ停止した」と話した。
ウクライナ危機や高インフレ、サプライチェーン(供給網)混乱などで景気の先行きは不透明感が増している。米金融大手は「大きな地政学的、経済的な試練がある」(JPモルガンのダイモンCEO)と身構えている。
【時事通信社】
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