- 2022/04/26 掲載
米国株は逆風重なり一段の下落余地、複数のストラテジストが警告
S&P総合500種は25日に約1%下落。既に22日までに週間ベースで3週連続値下がりし、年初来の下落率はおよそ11%に達して、今年の安値に迫りつつあった。
こうした中でエクイティ・キャピタルの市場アナリスト、デービッド・マドン氏は投資家向けノートに「インフレ、金利上昇見通し、上海のロックダウン(都市封鎖)という最悪の不安材料の組み合わせが市場心理を圧迫している」と記した。
モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏らアナリストチームが25日のリポートで投資家にとっての新たな注意信号だと訴えたのは、ディフェンシブ銘柄のバリュエーション上昇と証拠金の増加ペース鈍化。「ディフェンシブ銘柄が直近で大きくアウトパフォームして割高になったので、(投資家の)隠れ場所が非常に乏しくなっている。これはS&P総合500種が最終的に市場平均の流れと足並みをそろえ、弱気相場入りすることを示唆している。21日と22日の値動きの加速も、より幅広い売り局面に移行しているというわれわれの見解を裏付けているかもしれない」という。
シティのマット・キング氏は、先週を通じて米連邦準備理事会(FRB)の準備預金が4600億ドル減と、週間ベースで過去最大の減少を記録した点に注目。キング氏はいわゆる「量的引き締め(QT)」という観点に基づき、1000億ドルの準備預金減少は株価の1%下落を意味するとの試算を示した。
金融政策の面では来週、FRBが開く連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが決定される、というのが大半の投資家の想定だ。しかし約40年ぶりという大幅なインフレに対峙しているFRBのタカ派的な政策運営を市場は完全に織り込んでいないのではないかと懸念する声も多い。
データトレック・リサーチの共同創設者ニコラス・コラス氏は25日のノートで「市場は(FRB)の最も蓋然性が高い政策経路をまだ全面的に織り込んでいない」と指摘した。
今週は、アマゾン・ドット・コムやアップル、グーグル親会社アルファベットといった主力ハイテク銘柄の決算発表が控える。ウクライナの戦争や中国の新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンに起因する地政学的不確実性も根強い。
さらに心配すべきは季節要因だ。CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏によると、1946年以降のS&P総合500種が最も堅調な半年間は11月から次の4月までで、平均上昇率6.8%なのに対して、5月から10月までの平均上昇率は1.7%にとどまっている。
もっともJPモルガンのストラテジストチームは、足元の株式市場が売られ過ぎの状態にあることなどを理由に、リスクは短期的な戻りの方に傾いていると述べた。
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