- 2022/05/12 掲載
再送-欧州向けロシア産天然ガス、ウクライナ経由が25%減 価格上昇
[ロンドン 11日 ロイター] - ウクライナが主要中継地点の一つを経由するロシア産ガスの欧州向け輸送を停止したことを受け、ウクライナ経由の欧州向け供給量が11日に25%減少した。
ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、ウクライナ経由のガス供給が影響を受けるのは今回が初めて。11日の供給阻害を受け、第3・四半期の欧州の天然ガスの指標価格は1メガワット時当たり100ユーロに上昇。前年同時期と比べると250%以上高い水準となる。
ウクライナのガス輸送システム運営会社、GTSOUは10日、親ロシア派が実効支配する東部ルガンスク州のソフラノフカ中継地点を経由する天然ガス輸送に「フォースマジュール(不可抗力)」条項を宣言し、11日から停止すると発表。停止されるのは、ウクライナ経由で欧州に向かうロシア産ガスの約3分の1に当たるとしていた。
ロシアの国営ガス大手ガスプロムは、ウクライナ経由の欧州向け供給を継続していると表明。ただ、11日の供給量は7200万立方メートルと、前日の9580万立方メートルから減少した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ロシアは供給契約に引き続きコミットしていると表明。ガスプロムは、ウクライナが中継地点の一つを閉鎖したため欧州向け天然ガス供給の安全保障が阻害されたと指摘している。
供給量が減少する中でも、欧州各国へのロシアからの供給は途絶えていない。スロバキアがウクライナ経由の供給は安定しており、問題の兆しはないとしたほか、オーストリアは供給は要請通りに続いていると表明。ドイツのハベック経済相も、ドイツ向けの供給は安定的に継続しているとした。
ライスタッド・エナジーのアナリスト、Zongqiang Luo氏は「欧州のガス供給網は十分に統合されているため、一国だけが直ちに影響を受けることはない」と指摘。ただ「今回の動きでシステムに一段の負荷がかかり、価格の下向き方向への動きは阻止される」との見方を示した。
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