• 2022/05/13 掲載

物価安定こそ経済の根幹、最悪状況回避には「多少の痛み」=FRB議長

ロイター

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[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は12日、ラジオ番組のインタビューで物価安定こそ経済の根幹だと強調し、インフレ加速という最悪状況を避けるためにFRBが進める利上げで「多少の痛み」が生じることについて国民に理解を求めた。

この日上院で2期目のFRB議長を務めることを正式に承認されたパウエル氏は「われわれはインフレが(経済に)どのような打撃をもたらすかを完全に把握している」と発言。6月と7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、50ベーシスポイント(bp)の利上げに踏み切る考えを繰り返した上で、物価データが悪化すれば「さらに手を打つ準備が整っている」と付け加えた。

パウエル氏は「物価の安定なしには誰にとっても経済は回らない。われわれは過去に物価が非常に高騰した局面を経験してきた。物価上昇率を2%に戻す過程には多少の痛みが含まれるが、最終的に見てわれわれがこの問題にうまく対処できない場合こそ、最悪の事態になる。経済に高水準の物価が定着し、われわれはそれがどんな世界かを承知している。人々は所得の価値を失うだけだ」と語った。

後から考えると、インフレ率が2021年に急上昇し始めたことを踏まえれば、今年3月より早い時期に利上げを開始するほうが「好ましかった」だろうと認めた。

その上で、何よりも「物価安定を必ず回復させる必要がある」と強調した。

現在米経済が直面しているのは、1970年代から80年代序盤以降で最も厳しいインフレ局面だ。当時の物価上昇率は一時14.5%に達し、FRB議長だったポール・ボルカー氏は政策金利を2倍に引き上げたため、景気後退(リセッション)に陥り、失業率は10%超に跳ね上がった。

パウエル氏はこれまでボルカー氏のインフレ退治に示した強い決意にしばしば敬意を表明してきたが、同時に今回は大幅な失業者増加ないし経済の落ち込みを招くことなく、物価を押し下げる「ソフトランディング(軟着陸)」が可能との見解も明らかにしている。

ただ足元で食品やガソリン、住宅などの価格が急速に上昇していることで、物価対策はバイデン政権にとって喫緊の政治課題になってきた。

バイデン大統領は上院によるパウエル氏の続投承認を受け、「インフレへの取り組みは内政面で私の最優先事項だ」と述べるとともに、FRBが「この重大時期に米経済と各家庭のために必要とされるその能力と知識を駆使してくれるだろう」と期待を示した。

FRBによるこれまでの政策措置を受けて金利は既に大きく上昇し、昨年時点で3%に満たなかった住宅ローンの30年固定金利は5%を上回っている。また、株安による資産価値の目減りで一部の消費者は支出を控える可能性があり、インフレ抑制につながるとみられる。

エバーコアISIのストラテジスト、スタン・シプリー氏は「金融政策でインフレを抑制するには、消費者の支出を引き締める必要がある。特に住宅など特定の業界が痛みを感じるだろう。住宅ローン金利は6%を超える見通しで、潜在的な買い手にとってハードルが高くなる」と述べた。

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