- 2022/05/26 掲載
ドルのCBDCの創出は金融安定確保に貢献=FRB副議長
ブレイナード氏は「われわれが将来のデジタル金融システムを考えるに際して、恐らくFRBが発行する実物貨幣のデジタル版を経由するという方法で、安全な中央銀行のお金を人々が利用できる仕組みをいかに整備していくか検討するのが賢明だ。われわれは行動することに伴うリスクと同じぐらい、動かないリスクもあると認識している」と述べた。
米国でCBDCが必要かどうかを巡り、FRBの政策担当者の間ではなお意見が分かれており、このほどCBDCに関する意見公募期間を終えたばかり。FRBはホワイトハウスと議会が明確に支持しない限り、CBDCを導入しない意向も示唆している。
一方欧州中央銀行(ECB)や日銀、イングランド銀行(BOE)はCBDC採用を視野に検討作業を進め、この問題でFRBに先行。アトランティック・カウンシルによると、中国は現在人民元のCBDCの試験運用中であるほか、既に世界の9カ国が導入済みという。
折しも足元では暗号資産(仮想通貨)の一種、ステーブルコインの「テラUSD」が暴落し、代表的な仮想通貨のビットコインが昨年11月の最高値から50%強下落したことで、規制の緩い民間ベースのデジタル通貨が抱えるリスクに厳しい目が向けられるようになった。
ブレイナード氏は「これらの出来事は、消費者や投資家を保護し、金融の安定を守るとともに、金融システム全体で公平な競争とイノベーションの土俵を担保するための明確な規制の枠組みが必要なことを浮き彫りにしている」と訴えた。
民間ベースのデジタル通貨と異なり、CBDCは中銀が責任をもって発行し、価値を裏付けるという特徴がある。
ブレイナード氏は、米国がCBDC創出に向けて動くとすれば、商業銀行こそ金融システムの中心的存在である点を踏まえ、例えば個人のCBDC保有や送金を制限することなどで商業銀行の仲介機能を損なわない形で設計されなければならないと説明した。
同氏は、米国のCBDCはドルの国際的に重要な地位を安泰にしてくれるだろうとも強調した。
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