- 2022/05/28 掲載
スケールの大きな経済人=安倍元首相とも親交―JR東海名誉会長の葛西氏
25日に81歳で死去したJR東海名誉会長の葛西敬之氏は、経済人の枠に収まり切らない信念の持ち主だった。
安倍晋三元首相を囲む経済人による「応援団」の中心メンバー。折に触れ会食を共にした安倍氏は27日、記者団に対し「体の重心に常に国家があって、常に国家のことを考えている人だった」と語った。葛西氏と同い年の三村明夫・日本商工会議所会頭も同日の記者会見で、「私たち純粋な経済人と違い、政治家との付き合いなど、一回りスケールの大きい経済人だった」としのんだ。
対中批判など「鋭い舌鋒(ぜっぽう)で時代に警鐘を鳴らし続けた『国士』」(財界関係者)と評され、経済人としては独特のスタンスを貫いた。米国にリニア新幹線を売り込むべく奔走したのも、ビジネスでなく日米同盟強化の観点からだったという逸話は有名だ。米国へのセールスに国土交通省在籍時に同行した田村明比古・成田国際空港会社社長は同日の会見で、「鉄道のことだけでなく安全保障のことを考えていた」と話した。
JR東海の金子慎社長は「国鉄改革で中心的な役割を担い、日本の大動脈輸送を担う観点とともに、足元の安全をおろそかにしてはいけないとよく言っていた」と振り返り、葛西氏の遺志を受け継ぐ考えを示した。
1987年の旧国鉄の分割・民営化に「国鉄改革3人組」の一人として尽力。後年は、東海道新幹線の役割を代替するリニア中央新幹線を建設して日本の大動脈輸送を二重化することに執念を燃やしたが、開通を見ることなく旅立った。
【時事通信社】
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