- 2022/06/17 掲載
焦点:既定路線から再び外れたFRB、見通しの不確実性高まる
FRBは経済成長率、失業率、個人消費支出(PCE)の総合インフレ率とコアインフレ率の4項目についてFOMC参加者の予測とともに、予測の不確実性が高いとした参加者の数から低いとした参加者の数を引いたDIも公表している。ロイターがDIを平均して「不確実性」を指標化した。
FOMC予測資料の「不確実性とリスク」に関する表では、参加者18人全員がインフレ率と経済成長率の予測の不確実性が高いと評価し、失業率予測についても17人が不確実性が高いと考えていることが分かる。成長率に関しては1人も上振れリスクを指摘しておらず、大半の参加者は下振れリスクがあると評価した。
指標が予測から上振れるリスクがあるとした参加者から下振れリスクを指摘した参加者を引いたDIによると、失業率が予想より悪化するとの懸念は2008年の金融危機後の景気後退時並みに強まった。インフレ率が上振れるとの懸念はさらに強かった。
予測の不確実性とリスクの評価は、FRBが景気と失業率を悪化させるリスクを冒してまでも大幅利上げを強行する姿勢を理解するのに役立つ。また、インフレ見通しが明確になれば政策の方向性も決まることが分かる。
モルガン・スタンレーのエコノミストは、インフレを抑え込むためにFRBがどれだけ速く中立金利に到達し、どの程度まで超過するのかを決定する際、「インフレの道筋が引き続き主要な検討項目になることは明白だ」と指摘した。
FRBはインフレが落ち着いて景気が「軟着陸」するシナリオを描くが、当局者らはインフレ率をはじめとする指標が想定より悪化するリスクにも留意している。
FRBが今回決めた75ベーシスポイント(bp)の大幅利上げが直近のインフレ指標の悪化を踏まえた土壇場の決定だったように、「極めて困難で不確実な状況」(パウエル議長)の中でFRBがどう動くかを見極めるのに、投資家は今後も神経をすり減らす展開が続きそうだ。
バークレイズのエコノミストはFOMC後に出して顧客向けノートで「FOMCは不透明感が高い中、今後も機敏に行動するもようで、市場との意思疎通で示されるガイダンスを決定事項と考えるべきではない」と指摘した。
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