- 2022/07/13 掲載
補償条件、30年間変わらず=通信障害「24時間以上」―通話以外に役割拡大・携帯各社
KDDIが起こした大規模通信障害では、利用者への補償が焦点の一つとなっている。同社を含む携帯各社の約款は、通信が全くできないといった状況が「24時間以上」続いた場合に賠償すると規定しているが、その内容は30年前から変わっていない。社会基盤として携帯電話の重要性が増すなど時代が大きく変化する中、補償の在り方が問われている。
NTTドコモによると、同社が携帯事業を始めた1992年から損害賠償に関する条件は、「全く利用できない」または「それと同程度の状態」が「24時間以上」続いた場合となっている。約款は必要に応じて見直しているが、補償条件は変えていない。他の携帯各社も同様だ。
補償条件はNTT東日本、西日本の加入電話も同じで、各社はこれを参考にしたとみられる。NTT東によると、短時間の通信障害も賠償すると低廉な料金の維持が難しくなることなどを踏まえ、「24時間以上」となったようだ。
今回の通信障害では、発生から復旧宣言まで86時間を要したが、全く使えないのと同程度の状態が24時間続いたかがポイントになる。KDDIは補償を「検討する」としているが、今回の障害については「利用しづらい状況」と説明しており、約款に基づく補償の適用は難しいとの見方がある。
ただ、かつての電話と異なり、携帯電話の役割はメールやインターネット利用などに拡大し、「財布代わり」にしている人も多い。少しの間使えないだけでも影響は大きく、約款によらない補償が行われる可能性もある。
一方、約款の補償条件を緩和すればいいという単純な話でもない。各社が補償に備えて障害対策を強化すれば、コスト増で料金が上がりかねない。三菱総合研究所の西角直樹主席研究員は「事業者がどこまで通信を保証するのか、バランスを考える必要がある」と指摘する。MM総研の横田英明常務は「今回の件を発端に、補償についてのルール作りが進むと期待される」と話した。
【時事通信社】
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