- 2022/10/21 掲載
NY市場サマリー(20日)ドル150円台・ポンド下落、利回り上昇 株続落
<為替> ドルが1990年以来32年ぶりに節目となる150円台に乗せた。英ポンドはトラス首相の辞任表明を受け不安定な取引の中、下落した。
ニューヨーク時間の取引でドルは一時150.25円まで上昇。その後は150.18円。
政府・日銀が介入する可能性は不明だが、一部アナリストは、日銀が極めてハト派的な政策を変更しない限り、介入で一段の円安を食い止めることはできないと指摘。OANDA(ニューヨーク)のシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は、日銀が方針を転換するか、米経済の見通しが急速に悪化して米連邦準備理事会(FRB)が政策を転換するまで状況は変わらないとの見方を示した。
米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁はこの日、高インフレが続く中、FRBの利上げはまだ終わっていないと表明。一部では、現在3.00─3.25%にあるフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標は5%を超える水準まで引き上げられる可能性もあるとの見方も出ている。
神田真人財務官は「介入をしているか、していないかにはコメントしない」としながらも、円買い介入の原資は「無限にある」と語った。
MUFGの欧州グローバル市場調査責任者、デレク・ハルペニー氏は「財務省は無秩序な値動きがあれば介入する用意があると明言しているため、ある時点で介入があるとの見方が織り込まれている」と指摘。「ドルが150円を明確に上回り、無秩序な値動きが見られれば、何らかのアクションが起こされるきっかけになる可能性がある」と述べた。ただ、ドル/円相場が急激に動かない限り介入はないとの見方を示した。
日銀の次回政策決定会合は10月27─28日。
英ポンドは0.05%安の1.1219ドル。トラス首相が辞任を表明する前は上昇していた。
ユーロは0.13%高の0.9785ドル。
主要6通貨に対するドル指数は0.10%安の112.86。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 指標10年債利回りが上昇し、14年ぶりの高水準を付けた。米経済指標で労働市場が引き続きタイトなことが示され、FRBが積極的な利上げを継続するとの見方が強まった。
10年債利回りは一時4.228%まで上昇し、2008年6月以来の高水準。終盤は約10ベーシスポイント(bp)上昇の4.2283%。
30年債利回りは4.225%と11年ぶりの高水準。終盤は9.5bp上昇の4.2213%。
2年債利回りは07年8月以来の高水準となる4.619%を付けた。終盤は6.7bp上昇の4.6186%。
米労働省が20日に発表した10月15日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は21万4000件に減少した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は23万件だった。前週分は、当初発表から2000件下方改定された。これを受け、米債利回りは上昇した。
財務省が実施した210億ドルの5年物インフレ指数連動債(TIPS)入札は最高落札利回りが1.732%と入札前取引(WI)の水準を下回り、堅調な需要を示した。
ジェフリーズによると、直接入札者の落札比率は17%と過去4回の平均を約6ポイント上回った。ドルベースでは19年12月以降で最高という。
英国ではトラス首相が辞任を表明したが、米債市場の反応は限定的だった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続落。一連の企業決算は堅調な内容となったものの、週間の新規失業保険申請件数の予想外の減少やFRB当局者のタカ派的な発言を受け、FRBが積極的な利上げを継続するという観測が強まり、相場を圧迫した。
取引序盤には、四半期決算が予想を上回ったIBMなどが主導して上昇する場面もあった。IBMは4.73%高。通期利益見通しを引き上げたAT&Tも7.72%上昇した。
ただ、労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数が予想に反して減少したほか、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁の発言を受けてFRBの利上げや景気減速への懸念が強まり、株価は下げに転じた。
ハーカー総裁は、高インフレが続く中、FRBの利上げはまだ終わっていないと発言。米10年債利回りは2008年6月以来の水準に上昇した。
ホライズン・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ザカリー・ヒル氏は「株式のボラティリティーを高めているのは金利だ。今年に入ってそうした状況が続いている」と指摘。また「数人のFRB当局者が示唆し、市場参加者の間でも期待されていた(利上げの)一時停止が見られるかどうかは分からない」と語った。
米株は今年、FRBの積極的な利上げによる企業業績や経済全体への影響を巡る懸念に圧迫されている。
この日発表された他の経済指標では、全米リアルター協会(NAR)による9月の中古住宅販売戸数が8カ月連続で減少したほか、フィラデルフィア地区連銀による10月の連銀業況指数も再びマイナスだった。
テスラは6.65%安。物流面の問題が続いており、第4・四半期の納車台数は目標の50%を下回る伸びにとどまっているとした。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 対ユーロでのドル安を背景に買われ、3日ぶりに反発した。12月物の清算値(終値に相当)は前日比2.60ドル(0.16%)高の1オンス=1636.80ドルと、前日の3週間ぶりの安値からわずかながら回復した。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 対ユーロでのドル安などを背景に買われ、続伸した。この日納会を迎える米国産標準油種WTI11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.43ドル(0.50%)高の1バレル=85.98ドルだった。12月物は0.01ドル安の84.51ドル。
外国為替市場では、対ユーロでドルが下落し、ドル建てで取引される商品の割安感から、原油が買われた。また、米メディアは20日未明、中国が新型コロナウイルス関連の制限措置が緩和される可能性があると報道。これを受けて、同国景気の先行き懸念が後退したことも、原油の支援材料となった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 150.14/150.16
始値 149.72
高値 150.28
安値 149.56
ユーロ/ドル NY終値 0.9783/0.9787
始値 0.9805
高値 0.9845
安値 0.9774
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 79*13.00 4.2202%
前営業日終値 80*24.50 4.1270%
10年債(指標銘柄) 17時05分 88*06.00 4.2325%
前営業日終値 88*30.50 4.1290%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*18.50 4.4481%
前営業日終値 99*00.00 4.3510%
2年債(指標銘柄) 17時04分 99*10.63 4.6122%
前営業日終値 99*14.13 4.5520%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30333.59 -90.22 -0.30
前営業日終値 30423.81
ナスダック総合 10614.84 -65.66 -0.61
前営業日終値 10680.51
S&P総合500種 3665.78 -29.38 -0.80
前営業日終値 3695.16
COMEX金 12月限 1636.8 +2.6
前営業日終値 1634.2
COMEX銀 12月限 1868.9 +33.0
前営業日終値 1835.9
北海ブレント 12月限 92.38 ‐0.03
前営業日終値 92.41
米WTI先物 11月限 85.98 +0.43
前営業日終値 85.55
CRB商品指数 271.7228 +0.3764
前営業日終値 271.3464
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