- 2022/11/04 掲載
英中銀、0.75%利上げ 「必要に応じて力強く対応」
[ロンドン 3日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は3日、2.25%の政策金利を0.75%ポイント引き上げ3%とした。英国の見通しは非常に厳しいとの認識を示し、「必要に応じて力強く対応する」姿勢を示した。
インフレ率は今四半期中に40年ぶりの高水準となる11%前後に達すると予想。すでに始まっている経済の縮小は2年続き、2008─09年の金融危機時よりも長引くとの見通しを示した。
0.75%の利上げは、1992年の「暗黒の水曜日」を除けば過去33年間で最大規模となる。事前のロイターのエコノミスト調査でも0.75%利上げが予想されていた。
0.75%引き上げは7対2で決定。テンレイロ委員とディングラ委員はすでにリセッションに入っている可能性があるとして、それぞれ0.25%、0.5%の利上げを主張した。
英中銀は「インフレ率の目標水準への持続的回帰を果たすには、金融市場が織り込む水準よりは低いが、その水準に向けて引き上げる必要があるとみられる」と異例の踏み込んだガイダンスを示し、「委員会は引き続き、見通しがより持続的なインフレ圧力を示唆する場合、必要に応じて力強く対応することになると考える」とした。
3日の政策発表直前、市場は政策金利が4.75%付近まで上昇すると予想していた。
中銀の決定を受け、英ポンドは急落。1315GMT(日本時間午後10時15分)現在、対ドルで約2%下落し、トラス前政権の減税策で引き起こされた混乱を受けた10月中旬以来の安値を付けた。
米連邦準備理事会(FRB)は前日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%ポイント引き上げ3.75─4.00%とし、これまでに実施した引き締めの累積効果を考慮し、今後の利上げ幅がより小規模なものになる可能性を示唆している。
英中銀は、前回9月の利上げ以降、トラス前政権の経済政策を受けた金融市場の混乱に直面、急きょ引き締め措置を中断し国債市場の下支えを迫られた。
現在、市場は落ち着きを取り戻し、今週、英中銀は国債売却を開始することができたが、英経済の根本的問題は消えていない。9月の消費者物価指数(CPI)は前年上昇率が10.1%と40年ぶりの高水準だった。
英中銀は、英経済が第3・四半期に後退局面に入り、2024年半ばまで続き、経済が2.9%縮小すると予測した。現在1970年代半ば以降で最低の3.5%の失業率は25年後半に6.4%に上昇すると予想した。
<利上げ幅縮小の見通し>
ベイリー中銀総裁は「将来的な金利について何も確約できない」としながらも、「足元の状況を踏まえると、金利の上昇幅は金融市場の現時点での想定よりも小さくなると考えている」と述べた。
ハント財務相は中銀の今回の利上げについて、住宅ローンを抱える家庭や融資を受けている企業にとって「極めてに厳しい」ものになると指摘。ただ「世界的な経済危機がある」とし、「金利の上昇を抑制するために政府ができる最善のことは、負債を減らしていると示すことだ」と述べた。
ラボバンク(ロンドン)の為替戦略部門責任者、ジェーン・フォーリー氏は「金融政策委員2人が0.75%ポイントの利上げを支持せず、次回会合時には英経済がリセッション(景気後退)入りしている可能性を踏まえると、英中銀が再度0.75%ポイントの利上げを実施する公算は小さい」と指摘。
ホッティンジャー(ロンドン)のウェルスマネージャー、アダム・ジョーンズ氏は「最近のマクロデータの軟化を踏まえると、今回0.75%ポイントの利上げが決定されたのは若干のサプライズだった」とし、「市場では12月と来年2月の会合でそれぞれ0.50%ポイントの利上げが実施されると予想されているが、それでも最終的な金利水準の見通しは1週間前より低下している。このことは、英経済の先行きに対する懸念が高まっていることを示唆している」と述べた。
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