- 2022/11/11 掲載
不動産投資マネー、中国や欧州から日本へシフト=みずほ信託社長
梅田社長によると、グローバルファンドによる不動産の投資先は最大市場の北米が5―6割、残りが欧州とアジアだったが、配分が大きく変わってきた。梅田社長は、ロシア・ウクライナ情勢の影響や景気動向を踏まえ、欧州の不動産市場への投資が減少していると説明。米中対立を背景に、米系を中心としたファンドが中国大陸への投資を「ほぼできていない」状況もあり、「この1年、日本の不動産に対する投資マネーの集まりが顕著になってきている」と語った。
米国をはじめ各国がインフレ抑制のため金利を大幅に引き上げる一方、日銀が低金利政策を維持していることも、日本の不動産市場に資金が流入している要因だという。梅田社長は「日本の潜在成長率やインフレが恒久的かなどを考えると、米国や欧州に近いような数パーセントレベルの利上げが進むとはなかなか考え難い」とし、投資家の資金調達環境が安定しているとの見方を示した。
日本の不動産市場はコロナ禍で在宅勤務が増加し、オフィス需要に懸念も出ていたが、ここへ来てオフィスに戻る動きが出始めている。梅田社長は日本の不動産市場の先行きについて、「グローバルなアロケーション(配分)と、一時期少し悲観していたオフィスの動きが戻ってきたこともあって、あまり悲観的に見る必要はないと思っている」と述べた。
<企業の資本効率化を支援>
みずほ信託は企業に対し、保有不動産を売却して新規投資や事業投資に資金を振り向け、自己資本利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)などを引き上げるコンサルティングも手掛けている。梅田社長によると、保有不動産をショッピングセンターなどに貸す場合、利回りは3―3.5%程度に過ぎず、売却によって資金を有効活用するような提案などを行っているという。
企業からの株式戦略に関する相談も増えており、今年8月は96件と前年同月比3倍強だった。梅田社長は「東証再編とコーポレートガバナンスコード(企業統治指針)の改革、アクティビストファンドなどが多くなり、発行体に対してアドバイスを提供する機会が非常に増えている。引き続き最注力分野の1つとしてやっていこうと思っている」と話した。
*インタビューは7日に行った。
(清水律子 山崎牧子 編集:久保信博)
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