• 2022/11/11 掲載

NY市場サマリー(10日)CPI受けドル急落・利回り急低下、米株急反発

ロイター

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[10日 ロイター] -

<為替> ドルは急落。10月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、基調的なインフレ率の鈍化が示唆されたため、連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が広がった。

主要通貨が対ドルで大幅高となり、円相場は一時2008年以来、ポンドは1985年以来の上げ幅を記録した。

ただ、米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は10日、インフレ鈍化の兆しが出ているとしながらも、インフレ目標を達成するために金融政策を一段と制約的にする必要があるとの認識を示した。

米労働省が10日発表した10月のCPI(季節調整済み)は前年比伸び率が7.7%で9月の8.2%から減速し、ロイターがまとめた市場予想(8.0%)も下回った。

MUFGの通貨アナリスト、リー・ハードマン氏は「今回のCPIでドル売りモメンタムが強まった」と述べた。

SMBC日興証券の米国担当チーフエコノミスト、ジョセフ・ラバーニャ氏はCPIは総合、コアどちらも予想から下振れし、インフレのピークアウトがより鮮明になったと指摘。FRBは12月に50ベーシスポイント(bp)の利上げをすると依然見込まれるが、23年の利上げは不確実性が高まったとした。

ドルは年初来で16%超上昇していたため、その反動も出た。

円が対ドルで急上昇したことで日銀による介入観測も出たが、CIBCキャピタル・マーケッツの北米外為戦略部門責任者、ビパン・ライ氏は「CPIを反映したもので、何らかの協調介入による動きとみるのは大いに疑問だ」と述べた。

MUFGセキュリティーズ・アメリカズの米マクロ戦略部門責任者、ジョージ・ ゴンカルブス氏は、ドル安は米債利回りの低下によるものとし「全てが金利の急低下に反応している。これまでドル高が続いていたが、市場に対する見方が変わってきている」とした。

フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)予想は5%を下回った。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%ポイントに代わり0.50%ポイントの利上げが決定される確率は71.5%に上昇した。

ユーロ/ドルは1.93%高の1.0204ドル。円は対ドルで3.94%高の140.92円。ポンド/ドルは3.15%高の1.1714ドル。

暗号資産(仮想通貨)市場の混乱も投資家心理に悪影響を及ぼした。ビットコインは前日の急落から11.76%反発し、1万7744ドル。年初来では60%超下落している。

暗号資産取引所FTXのネイティブトークンであるFTXトークンは153%高の3.826ドル。ただ、月初来では約85%安。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りが急低下した。10月の米CPIの伸びが予想を下回ったことで、FRBの利上げペースが鈍化するとの観測が高まったことが背景。

10年債利回りは一時3.824%まで低下し、5週間ぶりの低水準を更新。終盤は32ベーシスポイント(bp)低下の3.8218%。一日の下げ幅としては2009年3月以来の大きさとなった。

2年債利回りは一時4.29%と、約1週間ぶりの低水準を付けた。終盤は29.8bp低下の4.33%。一日の下げ幅としては08年9月以来の大きさとなった。

アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)の債券担当マネジングディレクター、キム・ルパート氏は「市場ではインフレ低下の兆候を見極めようとする動きが出ているが、今回のCPI統計は低下を示す初めての経済指標だった」とし、「FRBが来月の会合で利上げ幅を0.50%ポイントに縮小するとの観測を支えるものだった」と指摘。

「今回のCPI統計は長期的なディスインフレ傾向の始まりを示すもので、FRBは来年初めに引き締めサイクルを終了させると予想している。政策金利は4.50─4.75%でピークを付け、2023年中に利下げに着手するだろう」と述べた。

ただ、米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は10日、インフレ鈍化の兆しが出ているとしながらも、インフレ目標を達成するために金融政策を一段と制約的にする必要があるとの認識を示した。

短期金融市場では、12月の会合で0.50%ポイントの利上げが決定される確率は73.5%、来年2月の会合で同幅での利上げが決定される確率が63.5%であることが織り込まれている。

ターミナルレート(政策金利の最終到達点)予想は先週の5%超から4.85%に低下した。

財務省が実施した210億ドルの30年債入札は、最高落札利回りが入札前予想を下回る4.080%。需要増大が示唆された。応札倍率は2.42倍だった。

入札後の30年債利回りは22.4bp低下の4.094%。一時4.05%と3週間ぶりの低水準を付けた。一日の低下幅は20年3月以降で最大だった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 反発。主要株価3指数はいずれも約2年半ぶりの大幅な上昇率を記録した。10月のCPI伸び率が鈍化したことで、FRBが利上げペースを減速させるとの観測が高まった。

利上げによる米景気減速懸念が後退し、あらゆるセクターに買いが広がった。

今年の弱気相場で圧迫されてきた成長株が上げを主導。エヌビディアは約14%、メタ・プラットフォームズは10%、アルファベットは7.6%、それぞれ値上がりした。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁とダラス地区連銀のローガン総裁は10日、CPIの鈍化を歓迎。その上で、インフレとの戦いはまだ終わっていないと指摘した。

アマゾン・ドット・コムは12%超上昇。音声アシスタント機能「アレクサ」を擁するデバイス部門を含む不採算事業部門を見直しているという米紙ウォールストリート・ジャーナルの報道が材料になった。

S&P主要11セクターは全て上昇。情報技術が8.33%高、不動産が7.75%高と上げを主導した。

フィラデルフィア半導体指数は10.2%上昇し、年初来の下落率が約32%に縮小した。

米国株投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX、恐怖指数)は23ポイント程度と約2カ月ぶり低水準に低下した。

新興電気自動車(EV)メーカーのリビアン・オートモーティブは17.4%高。第3・四半期の赤字が予想よりも小幅にとどまったほか、通年の生産見通しを維持したことや予約注文の伸びが好感された。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米物価上昇圧力が落ち着きつつあることを示す統計の発表を好感し、反発した。12月物の清算値(終値に相当)は前日比40.00ドル(2.33%)高の1オンス=1753.70ドルと、中心限月としては8月下旬以来約2カ月半ぶりの高値を付けた。

相場は一時1757.20ドルまで上昇し、市場では「上値抵抗線のある1800ド ル付近を試しに行く」(米アナリスト)との強気な声も聞かれた。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> FRBによる大幅利上げ継続への警戒感が和らぎ、4日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比0.64ドル(0.75%)高の1バレル=86.47ドルだった。1月物は0.66ドル高の85.66ドル。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 140.95/141.00

始値 146.51

高値 146.57

安値 140.21

ユーロ/ドル NY終値 1.0208/1.0210

始値 0.9944

高値 1.0221

安値 0.9942

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 81*25.50 4.0591%

前営業日終値 78*00.50 4.3190%

10年債(指標銘柄) 17時05分 102*19.00 3.8106%

前営業日終値 99*27.63 4.1420%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*27.00 3.9358%

前営業日終値 99*09.50 4.2830%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*02.63 4.3300%

前営業日終値 99*16.88 4.6280%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33715.37 +1,201.43 +3.70

前営業日終値 32513.94

ナスダック総合 11114.15 +760.97 +7.35

前営業日終値 10353.18

S&P総合500種 3956.37 +207.80 +5.54

前営業日終値 3748.57

COMEX金 12月限 1753.7 +40.0

前営業日終値 1713.7

COMEX銀 12月限 2170.2 +37.5

前営業日終値 2132.7

北海ブレント 1月限 93.67 +1.02

前営業日終値 92.65

米WTI先物 12月限 86.47 +0.64

前営業日終値 85.83

CRB商品指数 282.1174 +2.3390

前営業日終値 279.7784

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