- 2007/01/30 掲載
【パソコン市場調査】WindwsVistaはパソコン市場の拡大に影響するか?
ガートナーが見通しを発表
・2006年日本パソコン市場出荷台数は昨年比マイナス3.6%の1,364万台 ・大企業の買い換えの谷と個人需要の減退によりマイナス成長 |
ガートナージャパンのデータクエストは29日、2006年の国内パソコン市場の調査結果を発表した。調査結果によると、ベンダー出荷台数はデスクトップパソコン、ノートパソコンあわせて1,364万台、前年比ではマイナス3.6%となった。
国内のパソコン市場は、2005年まで3年連続プラス成長だったが、2006年は、中小企業市場が好調だった半面、大企業において買い換えサイクルの谷にあったことと、個人需要が減退したことから、全体でマイナス成長となった。
企業、政府・官公庁、教育から成る法人市場は、前年比0.2%減となった。法人全体では、大企業の大幅な落ち込みが中小企業の好調を相殺する形となり、2005年並の出荷規模にとどまった。
中小企業では、引き続きパソコンが普及途上にあり、新規購入および買い増し・買い換えへの継続的かつ積極的な投資が行われたことから、2005年に続き2桁成長を維持した。
一方、大企業では、すでに1人1台所有の環境が整いつつある中で、買い換えサイクルの谷にあったことから、2006年における需要は少なく、2桁の減少となった。
個人市場は前年比8.0%減。同市場は、2005年に4年連続した減少に終止符を打ったが、2006年には再びマイナス成長に転じた。ベーシックなノートパソコンの低価格化を除き、特に需要を牽引する材料に乏しかったといえる。
個人市場の大幅なマイナスの要因は、地デジ対応薄型テレビの需要増、大型家電店の特化販促活動が前年に比べ活発でなかった点、WindowsVista前の買い控えなどがあげられる。
こうした要因がある一方、パソコンが消費者にとって魅力的な新しい要素に乏しかったこと、ユーザーの二極化が進んでおり、パソコンを電子メールやインターネット閲覧に限定しているユーザーにとっては、低価格化や故障以外にパソコンの新規購入、買い換えを促す材料が見当たらないといったことが、個人需要低迷の根底にあるとガートナーデータクエストではみている。
2006年におけるパソコン出荷台数の上位5社は、第1位から順に日本電気(NEC)、富士通、デル、東芝、ソニーの順だった(表1参照)。
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国内ストレージソフトウェア市場売上推移、2004年~2010年
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1位のNECは、中小企業では好調に出荷台数を伸ばしたが、中堅大企業の需要低下が影響し、法人市場では微増にとどまった。個人市場では、市況悪化に加え、2005年の好調さと、2005年12月末に翌年の春モデルを出荷開始したことの反動により、2桁の減少を示した。NECは、上位5社の中で唯一2005年からシェアを下げた。
2位の富士通は、法人市場では前年比微増、個人市場では同マイナス1桁成長となった。富士通は、2005年に収益重視の販売戦略により、法人市場におけるシェアが縮小したが、その後、より積極的な販売方針へ転換したこと、また、中小企業市場へのフォーカスを強めたことなどから、2006年には若干シェアを回復した。
個人市場では、NECと同様に2005年末に翌年の春モデルを出荷開始したことが、2006年の成長率にマイナスの影響を与えた。しかしながら、地デジ・チューナー搭載のデスクトップパソコン製品で、他社よりも値ごろ感のあるモデルを先駆けて提供したことなどが幸いし、個人市場での落ち込みは1桁台に踏みとどまった。
3位のデルは、市場全体が落ち込む中で、上位5社ベンダーの中で唯一、2桁の成長を示した。これまでに引き続き、価格競争で他社をリードしたことに加え、防衛庁の大規模案件を受注したことが、同社の高い成長率に貢献した。しかしながら、台数シェアよりも収益に重点を置いた戦略へ転換したことにより、2006年第4四半期(10~12月期)には日本市場で同社初のマイナス成長を記録した。
4位の東芝は、法人市場では前年並み、個人市場では2桁の成長となった。個人市場の市況が悪化する中で、国内市場唯一の需要牽引要素であった低価格ノートパソコンに注力し、限られた需要を取り込んだことが、シェアの拡大につながった。
5位のソニーは、出荷の8割以上を個人市場向けが占めているが、市況の悪化にもかかわらず、平均以上の伸びを示している。個人市場向けには、ディスプレイ一体型デスクトップ製品で画面周辺にクリアパネルを採用した新感覚の形状のモデルや、超小型ノートパソコンなど、他社にはない斬新なデザインやコンセプトの製品を、法人市場向けには筐体の堅牢性を高めた軽量ノートパソコンなど、特徴のある新製品を投入したことが、出荷ベースの維持につながったとガートナーでは分析している。
1月30日、Windows Vistaが一般向けに提供開始となり、パソコンを買い控えていた個人ユーザーの需要増加が期待できる。また、2007年後半には、大企業市場の一部で買い換え需要の増加が期待できることから、2007年の日本パソコン市場は出荷台数でプラス成長に転じるものとみている。
現状のままではWindows Vistaの発売開始当初の影響は限定的であること、法人市場全体が本格的な買い換えサイクルに入るのは2008年であることから、2007年の成長率は1桁中盤程度にとどまるものと予測しており、2007年の市場成長率をさらに上げるには、用途が限定されている個人ユーザーに対して効果的な方法でWindows Vista搭載製品をアピールする、業界全体のより一層の努力が必要であると考えている。
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