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- 2007/05/25 掲載
【ナラティブマーケティング(18)】インキュベイションマーケティングの実例(2/2)
毎週金曜日連載
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サントリーオールドのサイト
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最近のウイスキー離れは深刻だそうで、一時期、シングルモルトがブームとなったが、依然低調が続いているらしい。とすると、ウイスキーに新しい価値を作る必要がある。そこでサントリーオールドは、「万人の心と心をつなぐ」という新価値を提示している。
これを広告コミュニケーション(リアル)では、父娘の再会という物語で展開し、一方ネットでは、商品の物語として展開している。言い換えれば、リアルでは新価値を、ネットでは商品のナラティブを展開しているのである。
まずは広告ライブラリー。昔から広告巧者として有名なサントリーの、不朽の広告作品を見ることができる。同様に、サントリーオールドの商品の歩みも知ることもできる。
これらを見ることによって確かになつかしさを感じるが、それ以上に、サントリーオールドが大衆に愛され続けてきたことを実感する。これにより、久しぶりに飲んでみるかという気分になる。
これはまるで、キリンビールがかつてやって大成功した「復刻ラガーキャンペーン」を想起させる。父が飲んでいたNO.1の頃のキリンラガーを思い出させて、需要を喚起するという方法だったが、これと同じ効果をこのコーナーに感じた。
次に開発思想だ。「サントリーオールドに込める3つの想い」というタイトルで、中身、デザイン、ネーミングに言及している。商品に対する想いがストレートに語られているので、グッとくる。
その次が飲み方提案。「オールドのある風景」というタイトルで、おいしい飲み方とオールドに合う旬の味覚を提案している。「おいしい飲み方」では、水割り、ハイボール、ハーフロック、ウイスキーフロートを紹介し、その最適な作り方を提示している。また「オールドに合う旬の味覚」では、ちらし寿司や魚といった和食とのカップリングをしている。
こういう利用提案というものは、消費者に気づきを喚起する効果があり、「よし、これをやってみよう」という気にさせる。それが商品購買の意識付けになる訳だ。
そして最後に商品情報。商品情報から開発思想、歴史や飲み方提案と実にうまく展開している。さらに利用者の声や評価が加われば、ナラティブ展開の見本とも言えるすばらしい展開と言えるだろう。
次回はさらに、ライフカードのインキュベイションマーケティング展開を紹介し、3つの展開の総括をしようと思う。
![]() 中央大学法学部法律学科卒。オリコミ(現オリコム)、講談社、NTTアド、東急エージェンシー、旺文社を経て、現在フリーマーケティングプランナー。現在は、企業のマーケティング業務をアウトソースで請け負い、プランニング、コンサルティング、組織構築、社員教育などを行っている。 |
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NTTコム、ドコモ、オリンパス、東京ガスの研修で採用された大ヒット商品ガイド。「必要なのは才能より技術」であると謳う村山式メソッドのコンプリートガイド |
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