- 2008/02/14 掲載
【イベントレポート】セキュリティの新しい方向性を指し示した、コミュニケーションセキュリティブース
ITpro EXPO NECソフトブースレポート
コミュニケーションが主役となった展示の数々
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今回のITpro EXPO のメインテーマは「エンタープライズICTの総合イベント」。ICTと銘打っただけあり、従来のIT(Information Technology)の要素に加え、「C(Communication)」の面での利便性やセキュリティ強化を意識したソリューションの展示が目立ち、これからのITの進化の方向性を指し示す展示となっていたのが特徴だ。
パビリオン全体の構成としては、「仮想化」「メールセキュリティ」「運用管理」、それに「Windows Server 2008」の4つのゾーン構成となっており、今話題となっているトレンドが一望できる作りに。数あるゾーンの中でも来場者の注目を最も集めていたのは、日本でも3月に発売になるマイクロソフトの「Windows Server 2008」パビリオン。サーバーOSとしては5年ぶりのメジャーバージョンアップとなり、新機能紹介シアターやサードパーティの関連製品ブースは大変な賑わいを見せていた。
Windows Server 2008の新機能のうち、仮想化技術「Hyper-V」は今後サーバー環境を構築する上で最も注目すべきポイントだ。シアターでは、Hyper-VとNECの「CLUSTERPRO」を組み合わせることにより、複数の物理サーバーと仮想サーバーを構築、状況に応じてスムーズに負荷を分散できるソリューションが紹介されており、来場者は熱心に聴講していた。
NECソフトの情報共有関連セキュリティ
もうひとつ来場者の注目を集めていたテーマが「メールセキュリティ」パビリオンを中心としたセキュリティのゾーン。中でもひときわ大きなブースを展開していたNECソフトのブースでは、「コミュニケーションセキュリティ」という新しいキーワードを全面に出した製品群を紹介。
現在、企業では社内のセキュリティを強化することで、ルールや禁止事項が増えすぎて、社員が不安になったり、業務効率が落ちたりといった様々な弊害が生じている現状がある。コミュニケーションセキュリティはこうした弊害を取り除き、メール本来のメリットであるコミュニケーションの活性化と高い安全性を両立できるようなトータルのソリューション。ユーザー部門に負担をかけることなく、セキュリティ対策を行なうという斬新なコンセプトが、来場者の注目を集めていた。
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ブースではこの「コミュニケーションセキュリティ」のコンセプトをテーマに、メールセキュリティ、エンタープライズサーチなど最新のソリューションが紹介されており、その他にも「予防」、「防御」、「保管」、「検知」といったセキュリティの各フェーズごとに対策製品が展示されているのが特徴。来場者はブースを回りながらNECソフトによる総合のセキュリティ対策ソリューションを一連の流れで体感できる内容となっていた。
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コミュニケーションセキュリティのラインナップ
メールセキュリティブースで展示されていた「GUARDIANWALL」はメールフィルタリングソフトとしてトップシェアを獲得している製品。メール本文や添付ファイルに保護しなければならない情報が含まれていないかどうかをチェックし、問題があれば送信せずに保留・削除することが可能となっている。
ブースでは、このGUARDIANWALLに暗号化ソフトウェア「PGP Universal」を追加したソリューション「GUARDIANWALL+PGP」も展示されていた。通常はユーザー自身が添付ファイルにパスワードをかける対策が一般的だが、GUARDIANWALL+PGPを利用することで特定の情報が含まれているメールだけを自動的に暗号化して送信するといった処理が可能となる。
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その他にも注目すべきメール関連ソリューションは、Ajaxの技術を盛り込んだWebメール「WichyMail V3.1」。この「WichyMail V3.1」は、ISPのBIGLOBEで利用されているWebメールに企業向けの機能を組み込んだソリューション。ユーザーインターフェイスには、Googleマップで採用されて一気に普及したAjax技術を全面的に採用。Webメールでありながら、専用ソフトウェアと同等のドラッグ・アンド・ドロップや右クリックメニューなどによる操作を実現している。V3.1ではさらに開封通知機能やグループウェアとの連携機能が強化されており、グループウェアの「サイボウズ ガルーン2」と連携させれば、同ソフトのWebメールをWitchyMailに置き換えることも可能という。
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このように社外からデータを出さないのではなく、出した後の対策をきっちりと考えるというコミュニケーションセキュリティのコンセプトは、極めてシンプルではあるがセキュリティの基本理念に立ち返ったラインアップという印象を強く受けた。いままで社内の厳しいルールにうんざりしてきたユーザーにとってはまさに「救いの神」となりうるようなソリューション群と言えよう。
その他のセキュリティ製品も充実
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Webベースの情報共有に対するセキュリティソリューションとしては、「WebブラウザプロテクターAE」、「WebコンテンツプロテクターAE」が注目を集めていた。前者はWebブラウザに表示される情報に対して、後者はWeb経由でダウンロードされるドキュメントなどのファイルに対して制限をかけるための製品。WebブラウザプロテクターAEを利用すれば、Webブラウザからのコピー&ペーストや印刷の抑制が可能となる。また、WebコンテンツプロテクターAEによって、ExcelやWord、PDFの編集を禁止したり、印刷時に透かし文字を入れたりといった処理を実現できる。
この他にも、複数の検索エンジンから最適な製品を選んで構築できる企業内検索システム構築サービスや、共有フォルダや掲示板など豊富な機能を搭載し社内ブログにも対応したナレッジソリューションKnowledge World など、社内の情報共有ソリューションも注目すべきソリューションであろう。
最後にユニークなセキュリティソリューションとしては、NECソフトウェア九州の「顔跡/KAOATO」および「性別・年齢層推定オプション」(参考出品)。KAOATOは顔認証技術を用い、パソコンの前に座るだけで本人確認ができるというシステムで、これに性別・年齢層推定オプションを組み合わせると、認識された人物の性別や年齢も推定できるようになる。具体的な用途としては、デパートや遊園地での迷子探しや、駅での不審者発見などが想定されており、ユニークなソリューションとして来場者も興味津々の顔つきで展示をのぞき込んでいた。
「自由なコミュニケーション」のセキュリティへ
いずれの製品も、ユーザーの利便性を損なわずにセキュリティ対策を行なうための細かい配慮が随所にみられ、昨年までのセキュリティ製品とは一味違う内容となっていた印象だ。ブース全体を通じて、単なる情報を「出さない」だけの守りのセキュリティ対策から、自由なコミュニケーションを行ないながらの対策へと、企業のセキュリティが一つ上のステージへと上ったことを実感できる内容となっている。
来場者も、いままでの制約が厳しいだけの窮屈なセキュリティから一歩進んだ、この新しいセキュリティコンセプトに共感した様子で、熱心な質問を各商品コーナーでぶつけていたのが印象的であった。
ライター 山路 達也
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