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  • 2008/02/13 掲載

グリッド・ユーティリティ検証センターの熱問題を解決したInfraStruXure InRow RC(2/2)

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■導入前の課題
● サーバをいかに高密度化できるかのチャレンジ
● 空調能力が足りていてもホットアイルに熱が滞留
● 空調コストの最適化

■導入ソリューション
● InfraStruXure InRow RC
● InfraStruXure Cooling Distribution Unit(CDU)
● NetShelter SX
● InfraStruXure Manager

実用性を重視したシステム研究開発センター

【ITアーキテクト】グリッド・ユーティリティ検証センターの熱問題を解決したInfraStruXure InRow RC
新日鉄ソリューションズ
取締役システム研究開発センター所長
宮辺裕氏
 新日鉄ソリューションズは、新日本製鐵の 情報システム部門を前身として、2001年に エレクトロニクス・情報通信事業部とグルー プ会社の新日鉄情報通信システムが事業統 合して発足した。製鉄所での大規模かつ高信 頼なシステムの開発・運用経験を活かして、 多種多様な業種の顧客に対しIT コンサルタ ント、システム設計・開発、運用・保守まで、 システムライフサイクル全体にわたる一貫 したトータルソリューションを提供する。

 同社の組織の中で、システム基盤技術やソ フトウェアシステム研究を行う部門がシス テム研究開発センターだ。組織的な高品質か つ効率的なIT インフラ構築を支える開発方 法論をはじめとしたシステム基盤技術研究、 先進的なアーキテクチャや革新的なソフト ウェア開発方法論などの研究を行うととも に、各ソリューション事業部門の実際のプロ ジェクト案件へ参画する実戦部隊としても 活動している。

 「将来的な先進技術の評価・検証など基盤 技術系の研究開発と実プロジェクトに参画 するビジネスユニットとしての位置付けを 持っているのが、システム研究開発センター の大きな特徴。全社共通の研究開発費だけで はなく、各ソリューション部門への事業支援 から得られる事業費で運営される自活的な 組織です」。同社の取締役システム研究開発 センター所長宮辺裕氏は、同センターの位置 付けと特徴をこう述べる。

 同センターの研究テーマの1つとして取り 組んでいる分野にグリッド・ユーティリティ・ コンピューティングがある。変化し続けるビ ジネス環境に柔軟に対応するシステム基盤 構築の技術として注目される分野だが、実シ ステムとして導入・運用するためには技術 的な課題や信頼性の問題など多くのハード ルがある。そこで同社は2005年12月にシ ステム研究開発センター内にグリッド・ユー ティリティ検証センターNSGUC(NS Solutions Grid / Utility Computing Center)を開設し、基盤技術におけるさまざ まな実証実験や実際に利用するユーザ企業 のニーズに基づいた共同検証などを実施し ている。このNSGUCのインフラであるブ レードサーバ群の冷却ソリューションとし て導入されたのが、InfraStruXure InRow RCだ。


サーバ高密度化と熱対策

【ITアーキテクト】グリッド・ユーティリティ検証センターの熱問題を解決したInfraStruXure InRow RC
新日鉄ソリューションズ
技術本部システム研究開発センター
システム基盤技術研究部主務研究員
進藤朋和氏
 NSGUCは120ノードのブレードサーバ からスタートしたが、社内外からの引き合い が多く、また分散データセンターなどさらに 高度な研究開発を実施するために、サーバ 240ノードまで増設することになった。サー バ増設のタイミングで、ファシリティの空調 設計も本格的に実施。NSGUCはオフィスビ ル内に構築されており、データセンターレベ ルのファシリティ設計がされていない。その 中で、いかにサーバを高密度化できるかの チャレンジであった。課題は、ホットアイル に熱が滞留することを防ぐこと。大型空調装 置を使い、ホットアイルとコールドアイルを 分離する従来型のアプローチだけでは十分 でなかった。グリッド技術を活用した新しい データセンターの構築にはこの課題をクリ アすることは不可欠な要素と考え研究課題 として取り組んだ。

「いくら空調機の冷却能力が足りていても、 高密度化により熱源が集中してホットアイ ルに熱がたまると、室温が次第に上昇してし まう」(技術本部システム研究開発センター システム基盤技術研究部主務研究員進藤朋 和氏)。

 グリッド対応の空調設計をしていないス タート時のファシリティでは、夏場に大規模 なHPC(ハイパフォーマンス・コンピュー ティング)検証を実施したときに、室温が想 定以上に上がってしまい、業務用扇風機で応 急処置をすることもあった。また、空気を強 制循環させ熱の滞留を防いだり、空気の循環 方法を変えるなど、室温を下げるために様々 な方法を試してみた。

 このような実体験に基づくノウハウを、 NSGUCを運用するなかで蓄積していった のだ。

 進藤氏は、蓄積したノウハウをベースに サーバ増設時の空調設計を実施した。サーバ 増設後は発熱量が増えるため、循環だけでは 十分な対策とはならないことが予想された。 当初、ラック背面の排熱を強制的に吸気して ビル外に排出する方法を検討したが、大量の 空気の排出は気圧のバランスをとるために 吸気も行う必要があり、設備が大がかりにな ることが判明。そこでラックまたはラック列 単位で冷却するソリューションに着目し、各 社の製品を検討した。

 「ある製品はラック内に空調装置を格納す るもので、ラックの前面の冷却効果は高くな るものの、空調装置の熱源をもラックに収め るため、部屋全体の冷却ができないといった 課題がありました。その点、InRow RCは冷 却用に水を使うという懸念はあったものの、 排熱を強制吸気して冷却するという考えが 条件に合致、導入に至りました」(進藤氏)と 選定の理由を述べる。

 InRow RCの導入に合わせて同社ではグ リッド・ユーティリティ検証センターのノー ドを倍増し、240ノードに拡張。うち約180 ノードのブレードサーバを4本のNetShelter SXに格納し、ラック間に3台のInRow RC を配置した。ビルの冷水をInRow RC用冷 水分配装置であるInfraStruXure Cooling Distribution Unit(CDU)経由で床下配管に よって各InRow RCに供給している。フリー アクセスフロア内の冷水パイプの下には結 露した場合にケーブル類を守るためにトレー を設置し、センサーによって水滴を監視して いる。

 「当初はサーバルームに冷水パイプを入れ ることを懸念しましたが、きちんと対策を とれば不安を払拭できます」(進藤氏)と指摘 する。

 また、3台のInRow RCおよびNetShelter SX内に設置したラックマウントPDUなどは 管理用アプライアンスサーバのInfraStruXure Managerによって一元管理されている。


投資効果の高いラック列冷却ソリューション

【ITアーキテクト】グリッド・ユーティリティ検証センターの熱問題を解決したInfraStruXure InRow RC
新日鉄ソリューションズ
グリッド・ユーティリティ検証センター
 InRow RCは1台あたり約30kWの冷却 能力があるが、最大で約50台のブレード サーバを搭載したラックをはじめ搭載密度 が異なるラックにおいても、ラック前面は常 に20℃に保たれているという。

 「InRow RCは、ラックに搭載されたブ レードの発熱量、あるいはビル自体の冷水の 水温変化に応じてファンの回転数がコント ロールされているため、常に一定の温度に保 たれており、信頼性の高さを実感しています」 (進藤氏)と強調する。

 また、同社ではサーバルームを24時間空 調できるように空調機の使用料をビル所有 者に支払っているが、InRow RCの導入に よってそうしたランニングコストが削減で きたという。

 「InRow RCの導入コストは、従来の大型 空調装置の費用を勘案すると、それほど長期 間でなくとも投資回収できる計算になりま す」(宮辺氏)と、InRow RCの投資効果の高 さを指摘する。

 また宮辺氏は、InRow RCがスマートかつ コンパクトで、NetShelter SXと統一された デザインであることも評価している。同社の グリッド・ユーティリティ検証センターはグ リッド・コンピューティングのショールーム としての機能も併せ持っており、顧客の訪問 もある。現在のNSGUCは、外観も整い低 騒音でかつ室温が適切にコントロールされ ているため、高いデモ効果が出せていると いう。

 NSGUCのノード拡張計画は、今後のビ ジネス次第だとするが、ラック列(Row)に 設置するモジュール方式の冷却システムが 高発熱密度化するサーバルームの理想的な 環境を実現していく。


ソリューションカタログは、こちらからご覧いただけます。



新日鉄ソリューションズ株式会社
事業内容:経営及びシステムに関するコンサルテーション、情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守及び管理、情報システムに関するソフトウェア及びハードウェアの開発・製造並びに販売及び賃貸、IT を用いたアウトソーシングサービスその他各種サービス
本社所在位置:〒104-8280 東京都中央区新川2丁目20番15号
設  立:1980年10月1日
URL:http://www.ns-sol.co.jp

お問い合わせ先
APC Japan
〒105-0011 東京都港区芝公園2-4-1 ダヴィンチ芝パークB-13階
TEL:03-6402-2001/FAX:03-6402-2002
URL:http://www.apc.com/jp
E-Mail:jinfo@apcc.com

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