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- 2025/04/17 掲載
アジャイル開発はなぜ必要なのか…「もし無かったら」経営と開発現場はどうなった?
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アジャイル開発普及の裏にある「エンジニアの切な願い」

佐藤 治夫氏
Xアカウント:https://x.com/haru860
2024年5月から[トレラボ]にて、システム開発に関する自身のノウハウや考え方を記事として発信している。
アジャイル開発の原点を振り返ると、その普及のきっかけはエンジニアたちの働き方改革への強い意識だった。佐藤氏は次のように説明する。
「契約やプロセスに縛られる厳格な開発手法では、プログラマーの創造性が抑圧され、人間味のない環境が生まれていたという側面もあったのは事実です。これに対し、『もっと人間的で創造的な働き方を』と願うエンジニアたちの声が、アジャイル開発という形で具現化されたと言えるでしょう」(佐藤氏)
DXも普及を後押し
一方で、ビジネスの側面からも、アジャイル開発は重要な役割を果たす。VUCA(不確実性、複雑性、曖昧性、変動性)と呼ばれる変化の激しい現代において、従来のようにトップダウンでの指示を待つだけでは対応が間に合わない。現場レベルで自律的に意思決定を行い、変化に柔軟に対応することが求められる。そうした状況の中で、アジャイル開発は大きな力を発揮する。さらに、前述したDXの潮流もアジャイル開発の普及を後押しした。企業やその事業が大きな変革を迫られる中で、「まず仮説を立て、小規模なプロダクトを迅速に開発し、市場で検証、そのフィードバックを基に改善していく」というアプローチが不可欠になった。この流れにアジャイル開発の特徴が見事に合致したのだ。
しかし、すべてのプロジェクトでアジャイル開発が万能というわけではない。特に、シビアに金銭が絡むシステムや人の命に関わるようなシステム開発においては、上流工程をしっかり固めることが求められるため、ウォーターフォール型のアプローチが欠かせない。
「アジャイル開発の手法でもウォーターフォールのアプローチにより近い、ハイブリッド型と呼べる手法もあります。それが『上流工程を少しずつ繰り返すパターン』です。つまり、要件定義の部分を繰り返して議論を重ねるという開発工程に、ウォーターフォール型アプローチを取り入れる手法ですね」 【次ページ】もしアジャイル開発が「無かったら」……
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