• 2025/12/12 掲載

トランプ大統領、州独自のAI規制を禁止・制限する大統領令に署名

米国のAI産業の競争力と米国の国際的優位性を維持を強調

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は2025年12月11日、各州が独自に人工知能(AI)規制を定めることを事実上制限する大統領令に署名した。トランプ政権は、この措置でAI産業の競争力と米国の国際的優位性を維持すると説明している。
トランプ大統領は署名式で、AI技術に関する州ごとの分散した規制が企業のイノベーションを阻害し、中国のような中央集権的な承認システムに対して不利になると主張した。大統領令では、司法長官に対して州法に異議を唱えるための特別措置チームの設置を命じ、商務省に対しては「問題となる州規制」のリストアップを指示している。特に「過度に厳しい(onerous)」規制と判断された州の法律に対しては、連邦政府が資金支援を制限する可能性に言及した。

対象となる州規制としては、コロラド、カリフォルニア、ユタ、テキサスなどが既にプライバシー保護、透明性義務、差別禁止などを含むAI関連法を制定している。これらの規制は、雇用・住宅ローン・医療などでAIが下す判断の公正性やリスク評価に焦点を当てている。大統領令はこうした法律の存在自体を問題視するというよりも、技術企業が50州ごとに異なる許認可や規制をクリアすることは困難であると訴えている。

大統領令には州が通したAI関連法から連邦基金(例えばブロードバンド展開プログラムの資金)を差し止める可能性も含まれ、連邦制をめぐる議論を呼んでいる。連邦上院で同様の規制禁止条項を盛り込んだ法案は共和党内でも反発を受け、採決前に撤回された経緯があり、トランプ政権は立法でなく行政命令を通じて対応する形を選んだ。

この措置に対しては、州知事や州議会、消費者団体、司法関係者などから反発の声が上がっている。共和党内でもロン・デサンティスら一部指導者は、州の立法権を制限することは憲法上の問題があると批判している。AI規制を強く支持する議員や団体は、連邦基準の確立を歓迎する一方で、子どもの安全や差別防止などの重要な州法の価値は維持されるべきだという立場を示している。

大統領令は、AI業界団体や大手テック企業からは概ね支持され、統一した規制枠組みがイノベーションを促進すると評価された。これに対し、消費者保護団体や一部の州当局者は、連邦主導の規制が消費者や労働者の安全を犠牲にする可能性を指摘している。合法性を巡っては訴訟にまで発展する見通しが報じられている。

(Photo/Shutterstock.com/PhotoAgency)

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