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- 2026/02/11 掲載
ニデック不正疑惑で浮き彫り「アウトすぎる」企業風土、カリスマ創業者の「ある誤算」
連載:大関暁夫のビジネス甘辛時評
株式会社スタジオ02代表取締役。東北大学経済学部卒。 1984年横浜銀行に入り企画部門、営業部門の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時にはいわゆるMOF担を兼務し、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。2006年支店長職をひと区切りとして独立し、経営アドバイザー業務に従事。上場ベンチャー企業役員を務めるなど、多くの企業で支援実績を積み上げた。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業などのアドバイザリーをする傍ら、出身の有名進学校、大学、銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆やコメンテーターを務めている。
「突然すぎた」永守氏の退任劇
不適切会計疑惑に関して第三者委員会の調査が進んでいるニデックの永守重信氏が2025年末、代表取締役を突然辞任しました。永守氏は日本電産(現ニデック)を創業し、50年以上にわたり実質トップを務めて、同社を2兆円企業に育て上げました。国内では合意なきM&Aに対する抵抗感が強かった時代から、数々の企業買収を繰り返しつつ確実に業績進展につなげてきた手腕には、一定の評価も得られてきました。常に強気の経営を貫いてきた永守氏の突然の辞任には、驚きの声が多く聞かれています。
ニデック不適切会計問題の発端は、2025年6月のイタリア子会社での貿易取引上の問題発覚でした。これを受けた社内一斉調査の結果、7月に中国現地法人で不適切会計の疑義があることが判明したことから、同社が監査等委員会監督の下で厳正な社内調査に乗り出し、ニデック本体および複数のグループ会社における不適切会計の疑義が明らかになったといいます。そこで同社は9月に、会計上の疑義の存在を公表するとともに、第三者委員会を設置して外部調査を開始したのでした。
同社によれば、本社およびグループ会社の経営陣が不正会計に関与または認識していたとも解釈できる資料が存在するとしており、現状で組織ぐるみでの不正である可能性を否定できない状況にあります。
ニデックの「特別注意銘柄」指定が意味すること
第三者委員会の調査報告がいつ公表されるのかについてはいまだ不確定であり、2025年3月期の有価証券報告書の提出が3カ月遅れの9月となった上、監査法人からは監査証拠が得られなかったとして異例の「意見不表明」とされました。これを問題視した日本証券取引所(JPX)は、翌10月に同社を内部管理体制の抜本的改善を求める特別注意銘柄に指定しました。特別注意銘柄指定を受けた企業は、原則1年以内に内部管理体制などの改善を計画的に進めることが義務付けられ、1年後の審査で改善の見込みなしと判断された場合には、強制的な上場廃止となる可能性まであるのです。
JPXは、同社が過去の決算情報を訂正する恐れがあり、決算スケジュールがいつ正常化するかも不明であることから、特別注意銘柄指定に至ったとしています。
永守氏の第三者委員会の報告を待たずしての辞任は、JPXの本処分を受けて決断したものであると考えられます。ちなみに筆者は、同様の改善命令を受けた企業の立て直し支援をしていますが、その経験から勘案すれば、ニデックは求められている内部管理体制改善において、創業者でかつ現在に至るまで実質経営トップであり続けている永守氏の処遇変更なくして、処分解除は見込めないと判断したものであろうと推察できます。 【次ページ】業績を支えた「3Q6S」とは
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