- 2026/04/25 掲載
「SNS発キャラ」なぜここまで大躍進?スンスン・おぱんちゅ…伊藤忠も本腰 熱狂の正体
連載:ヒットの現在地
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月~は東京拠点。関連サイトはこちら。
なぜこんなに刺さる?かわいいだけじゃない「SNS発キャラ」
長年にわたりキャラクター市場の変遷を追ってきたキャラクター・データバンクの代表取締役社長 陸川和男氏は、令和のキャラクター市場の最大の特徴として、「SNSの影響」を挙げた。
たとえば、『ちいかわ』はSNS上で短尺のマンガを日々投稿し、多くのファンを獲得しました。キャラの性格や物語の設定において、『かわいい』だけでなく、『かわいそう』という共感できる要素が多い特徴もあります。それらがUGC(一般ユーザーが生成したコンテンツ)を自然発生させていると考えます」(キャラクター・データバンク 陸川氏)
ちいかわでは、泣き虫で不器用、報われなくても努力を続ける主人公のちいかわに、多大な共感が寄せられている。たとえば、「草むしり検定」の資格試験では、ひたむきに勉強に励むも友だちのハチワレだけが合格し、ちいかわは不合格に。その後、5年越し、3度目の挑戦で、ちいかわが合格を勝ち取った投稿は大きな話題となった。
このちいかわと共通点が多いのが、若手女性クリエイターの「可哀想に!」氏が生んだ、うさぎのキャラクター「おぱんちゅうさぎ」だ。
さまざま挑戦するが、なかなか報われない姿が“不憫かわいい”としてZ世代女性に刺さった。SNSでは、2~4の短いコマ数で恵まれないが健気に生きるおぱんちゅうさぎの様子がユーモラスに表現されている。
「SNSに投稿している作品は、キャラクター制作やストーリー設計、アニメーションの編集から複数キャラの音声に至るまで、可哀想に!さんがすべてひとりで担当されています。ある種の天才なのだと思います」(アイライツポート 代表取締役社長 稲留光氏)
コンテンツスタジオのCHOCOLATE(チョコレイト)が手掛ける「パペットスンスン(以下、スンスン)」もまた、“かわいい”にとどまらない独自の世界観がある。
パペットの国・トゥーホックに住む6才の男の子で、SNSでは親友のノンノン(写真左)やおじいちゃんのゾンゾン(写真右)とのほのぼのした日常が描かれている。コミカルな動きや脱力感のある雰囲気、「ふわわあっ」という口グセに「気持ちがむちょむちょする」といった独特な表現など、クセになる要素が満載だ。
1.6兆円まで拡大、キャラが一気に広がる「共通ルート」
キャラクター・データバンクの調査によると、キャラクター商品の小売市場規模はコロナ禍に落ち込んだ後、順調に回復。2024年は、2015年以降の最高額となる1兆6,860億円となった。現在のキャラ市場の構造を陸川氏は、こう説明する。
「まず消費者が個人クリエイターの作品をSNSで発見し、ファン化。その後に企業が目を付ける流れに大きく変化しています。SNS上で一定のファンを獲得した後は、プロデュース側の緻密、かつスピーディーな戦略によって一気に知名度を上昇させ、ファン層を広げるのが共通点です」(キャラクター・データバンク 陸川氏)
人気を軌道に乗せる上で欠かせないのが、「メディアミックス戦略」だという。たとえば、ちいかわは、2021年以降、各地で常設店「ちいかわらんど」を展開(2026年4月時点で15店舗)。新商品発売日や混雑時には、今でも抽選/予約制の入店が続いている。2022年にはフジテレビ系列「めざましテレビ」でのアニメ化も始まり、ファンの年齢層を押し広げた。
2023年には池袋パルコに「ちいかわレストラン」を開業、2025年3月には専用アプリ「ちいかわぽけっと」も誕生した。大手企業とのコラボでも成果を上げているが、2025年のマクドナルドとの施策では、転売目的の買い占めや商品の廃棄などが炎上に発展した。 【次ページ】ちいかわに続くスンスン、おぱんちゅ…企業コラボ続々の魅力
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