- 2026/02/03 掲載
2026年「可観測性(オブザーバビリティ)」はこう変わる、AI時代の10トレンド(3/3)
AI前提の実装チェックリスト
最後に、AI前提で可観測性を組み直す際のチェックリストを示す。第1に、対象を絞る。いきなり全システムを統合せず、「売上に直結するAPI」「障害が起きやすいバッチ」など、影響が大きい経路を1つ選ぶ。
第2に、SLOを決める。SLOは“目標の状態”で、例として「5分間の成功率99.9%」や「95パーセンタイルの応答時間1秒以内」のように、運用が判断できる形にする。
第3に、3種類のデータをそろえる。メトリクスは全体の健康診断、トレースは原因箇所の特定、ログは最終的な証拠だ。ここで「相関キー(例:trace_id)」を必ず運ぶ。
第4に、データ量と費用に上限を設けること。ログの保存期間、サンプリング率、不要な属性の削除を決め、月次で見直す。クラウド利用料の見える化にはOpenCostのようなOSSもあるため、費用の“見える化”と“取り方の最適化”を同時に回す。
第5に、セキュリティを前提にする。個人情報や秘密情報がログに混ざると、後から消せない。マスク(伏せ字)や除外ルールを最初に定義する。第6に、runbookを整える。障害の第一報を受けたら、どの順で何を見るかを文章化し、可能なら自動実行する。
第7に、レビューの型を作る。週次で「遅延トップ10」「アラートの誤報率」「復旧までの時間」を見て、計測の穴を埋める。可観測性はツール導入で終わらず、運用の習慣として定着させた企業ほど効果が出る。
生成AIを使う機能がある場合は、プロンプトの版数、参照したナレッジのID、モデル名、推論にかかった時間、トークン数(入出力の文字量の目安)を最低限残す。これらがないと「いつから遅くなったのか」「どの更新が影響したのか」を切り分けられない。逆に言えば、この“最低限”だけを取っても、障害対応の質は大きく上がる。
可観測性は、ツールを入れて終わる施策ではない。生成AIやクラウドの利用が進むほど、障害の原因は分散し、従来の監視だけでは追えない局面が増える。まずは影響の大きい経路に対象を絞り、ログ・メトリクス・トレースを相関できる形で整えることが近道だ。データ量とコスト、セキュリティも含めて運用ルールを固め、定期的に見直す。2026年に向け、現場主導で「見える」状態を設計したい。
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