- 2026/04/09 掲載
まさかの現実…万博級「ネコ経済○兆円」の不都合な真実…「3つの課題」が悲劇を生む(2/2)
課題2:多頭飼育・ネグレクトの闇
多頭飼育崩壊やネグレクトも大きな社会問題となっています。この背景には、経済的困難だけでなく、飼い主の心や時間の余裕のなさもあります。どれほど愛情があっても、日々の負担が積み重なれば、少しずつ余白は失われていきます。当社が2018年2月に当社会員に向けて実施した「おトイレ掃除実態調査」では、回答した飼い主1036名のうち約75%がこまめにトイレ掃除を行っている一方で、汚れやニオイへのストレスも感じていることが分かりました。何気ない負担の積み重ねが、想像以上に心に影を落とすこともあります。
だからこそ、猫と人の暮らしに寄り添うものづくりを続けたいと思っています。たとえば、猫の体の仕組みに合わせて設計された「脚付食器」は、食べる時の姿勢を楽にし、吐き戻しを減らすことで、結果として飼い主の掃除の負担を軽くします。
また、職人の技術でミリ単位まで調整された「爪切り」は、短い時間でスパッと切れるため、猫が嫌がる前に終わり、爪切りの時間を猫との穏やかな触れ合いの時間に変えてくれます。
こうした製品は決して華やかなものではありません。しかし、日々の世話を少しでも楽にし、飼い主の心にわずかな余裕を生み出すことができれば、それは猫の安心にもつながります。ものづくりとは、単に機能を提供することだけではなく、暮らしの空気を整える営みでもあると、私たちは考えています。
課題3:71%→52%…薄れる飼い主の「ある意識」
もう1つのリスクが、災害への備えの遅れです。当社が2025年夏に行った「猫と暮らす人の防災意識調査2025」によると、2024年の能登半島地震から1年半が経過する中で、飼い主の防災対策をしている割合は71%から52%へと大きく低下していることがわかりました。特に気になるのは、「避難所で猫を受け入れてもらえるか不安」と感じている飼い主が8割を超えている点です。猫は環境変化に敏感で、犬と比べても避難が難しい場合があります。制度面でも犬ほど明確な保護体制が整っていない現状があります。不安が解消されないままでは、危険な車中泊や無理な自宅待機につながりかねません。
企業にできるのは製品販売だけではありません。正しい防災情報の共有や、日頃からキャリーやケージに慣らす習慣の提案など、暮らしの中でできる備えを伝えることも重要だと考えています。市場の規模が大きくなった今こそ、その影響力を社会全体の備えへと還元する姿勢が求められているのではないでしょうか。
猫の幸せ=人の生活の質を支える循環へ
猫の殺処分は減少傾向にありますが、多頭飼育崩壊や感染症といった新たな課題は続いています。3兆円という数字は、猫との暮らしが社会に広く受け入れられた証しでもあります。しかし、市場の成熟とは売上の規模だけでは測れません。命を守る仕組みが整い、飼い主が孤立せず、正しい情報が行きわたること。そうした土台があってこそ、持続可能な市場と言えるのではないでしょうか。
丁寧なものづくりによる負担の軽減。日常に組み込まれた支援。防災を含む情報の共有。
その1つひとつは小さな取り組みかもしれません。それでも積み重なれば、「猫の幸せ」が「人の生活の質」を支える循環へとつながっていくはずです。3兆円市場が真の豊かさをもたらすかどうかは、私たち1人ひとりの選択にかかっています。
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