- 2026/05/25 掲載
「SIerの死」は自業自得? NTTデータ買収やマイクロソフトが示すAI実装競争の勝ち筋(2/2)
アクセンチュアやIBM、NECも同様の動き
この領域の覇権を握るべく、各社は大型の買収や協業を相次いで発表している。米IBMは、リアルタイムのデータストリーミングとイベント処理に強みを持つ米コンフルエントを約110億ドルで買収し、生成AI時代に不可欠なスマート・データ・プラットフォームの構築を進めている。
これは、アプリケーションやAIエージェント向けに信頼性の高いデータを継続的に供給する基盤を自社で掌握するための戦略的な一手である。データがパブリッククラウド、プライベートクラウド、データセンターに分散する状況下で、それらを安全に連携させることがAI活用の前提条件となる。
また、アクセンチュアもSalesforceと生成AIを組み合わせたソリューション提供に長けた米ニューラフラッシュを買収し、コンタクトセンターなどにおける個客最適化された体験の実現に向けた実装力を強化した。
一方で、NECはオンラインホワイトボードツールの米ミロ(Miro)と協業し、人間の創造的業務とAIの自律的支援を組み合わせた「Human × AI コラボレーション」の推進を発表している。
NECの執行役Corporate SEVP兼CDOである吉崎敏文氏は、「NEC開発の生成AI『cotomi』やエージェントサービス群とを組み合わせることで、人とAIのコラボレーションを進化させ、新たなイノベーションをお客さまとともに生み出していく」と意気込みを語る。
これらの動向は、単一のプロダクトや技術ではなく、企業の既存システムとの複雑な連携という「パンドラの箱」を開け、最適化できる企業こそが、次世代のプラットフォーム争いの勝者となることを示している。
マイクロソフトがひっそり進める「次なる一手」
特に、米マイクロソフトなどのクラウドプロバイダーが推進する「共同販売(Co-Sell)」戦略への参画は、エンタープライズ市場を開拓する上で極めて有効な手段となる。
ISV(独立系ソフトウェアベンダー)が自社のソリューションを米マイクロソフトの営業チームと共同で販売し、顧客のAzure消費コミットメント(MACC)を消化できる仕組みは、大企業の購買における承認プロセスを大幅に短縮し、取引を加速させる効果がある。
このようなエコシステムの中で存在感を示すためには、単なる労働力の提供ではなく、レガシーシステムの近代化やデータプラミングといった、クラウドプロバイダーが直接手を下せない領域での圧倒的な専門性が不可欠となる。
また、自社のノウハウを再利用可能なアセットとして蓄積し、開発プロセスの自動化を前提とした成果報酬型契約を提案する勇気も必要だ。AIはSIerの敵ではなく、従来の非効率な開発体制を根本から変革するための強力な武器である。
この武器を手にし、顧客の真のビジネスパートナーとしての地位を確立できた企業だけが、淘汰の荒波を乗り越え、次なる成長軌道に乗ることができるのではないだろうか。
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