- 2026/08/03 11:57 掲載
マイクロソフトが動画AI「Mage-VL」公開、トークン消費75%超削減、動画把握を高速化
Mage-VLは、画像や動画と自然言語を組み合わせて処理するVLM(視覚言語モデル)。パラメーター数は約40億で、独自の視覚エンコーダー「Mage-ViT」と、Qwen3-4Bを基にした言語デコーダーを組み合わせた。
従来の動画対応VLMでは、動画から一定間隔でフレームを取り出し、各フレームを多数の小さな画像領域に分割して処理する方法が一般的だった。ただ、映像内でほとんど変化していない背景まで繰り返し処理するため、長時間の動画やライブ映像ではトークン数と計算量が膨らみやすかった。
これに対し、Mage-VLは、動画圧縮に使われるコーデックの情報を直接活用。一定間隔で映像全体を記録する「Iフレーム」と、前後のフレームとの差分を保持する「Pフレーム」を参照する。物体の移動を示すモーションベクトルや、予測映像との差を示す残差エネルギーを使い、変化の大きい領域を16×16ピクセル単位で抽出する仕組みだ。
その結果、映像の時間的、空間的な文脈を保ちながら、モデルへ入力する視覚トークンを75%超減らせたという。動画を最初からすべて見るのではなく、「前の場面から何が変わったか」を中心に確認するという動画圧縮の仕組みを、AIの認識処理にも利用した形だ。
研究チームによると、Mage-VL-4Bは静止画を使った評価で「Qwen3-VL-4B」と同等水準の性能を確保したという。一方、動画理解や2次元・3次元の空間推論では高い性能を示し、実際の処理時間を最大3.5倍高速化した。また、150億パラメーターの「Phi-4-reasoning-vision」を総合的に上回ったとしている。
視覚エンコーダーのMage-ViTは、約5億6,000万枚のラベルなし画像と、約1億フレームのラベルなし動画を用いてゼロから学習した。画像と文章の組み合わせを何十億件も用意する従来型の学習方法に依存せず、大規模な視覚データから表現を獲得したという。
さらに、Mage-VLは過去の映像をまとめて分析するだけでなく、映像を受け取りながら重要な出来事を検知する「プロアクティブストリーミング」に対応する。軽量な「System 1」が映像内のイベントを常時監視し、詳しい推論が必要な場合に「System 2」を動かす二重構造を採用した。
学習では、最大384フレームまたは768フレームの動画を扱う約35万件の長時間動画データに加え、約330万件のストリーミング用サンプルを使用。画像理解、録画済み動画の推論、リアルタイムのストリーミング理解を、別々のモデルではなく1つのモデルで処理できるとしている。
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