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  • 2026/10/16 06:10 掲載

【保存版】マクロス、アクエリオン作者の河森正治が「メカデザインの鉄則」徹底解説

河森正治氏のインタビューシリーズ(第5回)

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『超時空要塞マクロス』『マクロスプラス』『創聖のアクエリオン』など、数々の名作を世に送り出してきた河森正治氏。独創的なメカや世界観は、いったいどのような発想と方法論から生まれたのか。そこには、見た目だけでは終わらない独自のデザイン思想や、多くの才能を束ねるチームづくり、若手時代に積むべき経験、さらにはアイデアを生み出すための意外な時間の使い方があった。本記事では、長年に渡り第一線で創作を続けてきた河森氏に、その発想を支える知られざる仕事術と、オリジナルを生み出し続けるための核心を聞く。
聞き手・執筆:エンタメ社会学者 中山 淳雄

エンタメ社会学者 中山 淳雄

東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

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『マクロス』河森正治が語るモノづくりの流儀とは?

スタイリングとデザインは違う?河森正治の「デザイン論」

――過去、河森さんはさまざまなロボットアニメ作品を手掛けてこられました。その中で、現実の物理法則で成り立つ構造のものを、アニメの世界で描く、というのは想像以上に難しいことだと思います。たとえば、皆の夢を現実にした横浜の立像ガンダムは、アニメを現実世界で再現したものでしたが、実際は莫大なお金と最先端の技術がかかっています。それくらい、アニメの世界と現実世界をつなぐのは大変な作業だと思いますが、そのあたり、ご自身の“メカ作り”ではどのように意識されていますか?

河森正治(以下、河森)氏:あくまで自分の定義ですが、ロボットや戦闘機のデザインの外側の見た目にウエイトを置く「スタイリング」と、機能や構造設計までを作り込む「デザイン」、この2つは大きく違うベクトルのものだと考えています。

 その2つを、ごっちゃにされている方が多いのだと思います。たとえば、「デザイナー」と名乗りながら、表面だけそれっぽい飛行機とか自動車をつくったり、ロボットっぽいメカを描くだけだったりとかね。それらは造形としてのスタイリングを変えているだけで、自分が思う意味でのデザインを創り込んでいることにはならないのだと思います。

 もちろん、そうした「商業的に当たる見栄え作り」が、デザイン作業に対して劣っているというわけではないですよ。スタイリングはスタイリングで、トレンドをおさえたり、ユーザーの目を引くために重要な部分です。たとえば、家電の場合だと、だんだん機能がコモディティ化してきているから、スタイリングこそが“売れるか売れないか”の成否を分けている側面が強い部分もありますよね。

 その点、戦闘機なんて面白いですよね。本来、機能から考えると制約だらけだから同じ造形にスタイリングされてしまうようなものなのに(実際、ステルス航空機はフォルムが似通って面白くなくなりました)、デザインや思想、コンセプトの違いで、これだけ進化しても全然違う戦闘機のデザインが出続けますよね。

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河森正治(かわもり・しょうじ)
ビジョンクリエイター/メカニックデザイナー/アニメ監督・原作者。1960年、富山県生まれ。慶應義塾大学理工学部中退。『超時空要塞マクロス』(1982年)の原作(共同)・メカデザインを手がけ、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年)で監督デビュー。以降『マクロスプラス』『マクロス7』『地球少女アルジュナ』『創聖のアクエリオン』などを手がける。VF-1バルキリーに代表される「完全変形」メカデザインの第一人者。2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務め、シグネチャーパビリオン『いのちめぐる冒険』をプロデュースした。ベクタービジョン所属。アニメツーリズム協会会長。

――だから「デザイナー」と名乗るわけですね。

河森氏:それでも僕自身のこだわりとして、空力や構造も原理的にはおさえて、きちんと「成り立つ構造」を考えて「デザイン」をするように心がけています。

 実際にアニメがヒットして立体(玩具やプラモデル)にしたときに、裏側部分の辻褄が合わず何も考えられていないと支障が出ますから。

 僕の場合はレゴブロックを使って、最初にその変形機構を全部可視化できるようにしているんです。これは子供の頃から遊んでいた『フィッシャーテクニック』という知育ブロック玩具の経験も大きいんですが、構造上成り立つものとして見せないと、そもそもアニメとしての企画も始まりませんから。

――それは玩具メーカーからも喜ばれそうですね。

河森氏:ただ、なんでもデザインできるわけじゃないですよ。僕も変形機構までは考えますけど、だからって、素材や強度まで緻密に考えられるわけじゃない。その辺は専門家によろしく、という感じでお任せしたりします。

 後、アニメならではのジレンマとして「ほかの大勢のアニメーターも手描きできなきゃいけない」という難しさもあります。ロボットなんて線のカタマリなのに、ディテールも含めて「線数十本で構成しろ」と言われていたんです。量産体制で何千枚とセル画を描くときに、線が多いとアニメーターが1枚あたりに完成させる工数(カロリー)が重くなってしまうからです。

 本当は斜めに線を入れたらカッコよくなる(スタイリングが良くなる)ことは分かっているのに、描きやすさのために直線で割らないといけない。だったら、どこにその直線を描けば少しはマシになるか。デザインとスタイリング、どっちも追求したい人間としては、常にそうした選択を迫られますよね。
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――結局はモノづくりがゆえの「集団作業」になるので、"集団脳"に接続できる形に、フォーマットをある程度決めていく必要があるわけですよね。河森さんはデザイナーも監督もされますが、どの程度、細かいところまで自分の手を入れるんですか?

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